70 ページ30
「わ、あれが例の殺せんせー？
すっげ、本トにタコみたいだ」
シンとした空気を破るように、明るい声でそう言いながら階段を降りてきたカルマ君。
彼が真っ直ぐ進む先にいるのは、もちろん殺せんせー。
「赤羽
今日が停学明けだと聞いていました。
初日から遅刻はいけませんねぇ」
「あはは、生活リズム戻んなくて」
殺せんせーとカルマ君のやり取りを、少し離れた所から皆で見守る。
『停学明け初日から遅刻とか不良じゃん』
「素行不良で停学くらった奴が不良じゃない訳ないじゃん何言ってんの」
思ったことをそのまま口にすれば、至極真っ当な答えが返ってきた。
返す言葉もございません。
「下の名前で気安く呼んでよ。
とりあえずよろしく先生!!」
「こちらこそ。
楽しい1年にして行きましょう」
そう言って右手を差し出すカルマ君はとても爽やかというか、こう、不良に見えないというか。
そんな彼に殺せんせーも触手を伸ばす。
カルマ君の右手と殺せんせーの触手が握手をした、その時。
＿＿バチュッ、と。
何か、スライムのようなものを握り潰したみたいな音がした。
え、と思った時には数秒前までの穏やかな雰囲気はなく、殺せんせーがカルマ君から数メートル離れ、2人の間には一触即発の緊迫した空気が流れていた。
私達に分かったのはそれだけで、というのも、如何せん私達のいる所から彼らのいる所までは少し距離があるため、詳しいことまでは分からない。
『……速すぎて何が起こったのか全然分かんない』
「私も…」
『握手した瞬間カルマ君が殺せんせーに殴りかかったのは分かったけど…』
ここで補足をしておくと、カルマは殺せんせーに向かって殴りかかった訳では無い。まず握手をしたカルマの右手が殺せんせーの触手を溶かし、次に動揺からか一瞬固まった殺せんせーの首めがけ、カルマは ───左手に持っていたイチゴ煮オレを投げ捨て─── 何の躊躇いもなく袖口に忍ばせておいたナイフを振りかぶった。しかし、殺せんせーは
「…へー。
本トに速いし、本トに効くんだ、
心底感心した、というような口調でそう言ったカルマ君。
その声は決して大きいものではなかったにも関わらず、グラウンドにいたクラス全員の耳に届いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅奈虹夢＠虹茶(プロフ) - とっても面白いです！ (12月26日 11時) (
レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - みの字さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません💦そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2022年11月29日 14時) (レス) id: 720e88b2d3 (このIDを非表示/違反報告)
みの字(プロフ) - とても読み応えがあってすごく面白いです！！BIGLOVE... (2022年9月3日 15時) (レス) id: e0f77146da (このIDを非表示/違反報告)
リース(プロフ) - そうなんですね！楽しみに待ってます！ (2021年4月28日 19時) (レス) id: 6559b789f7 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - リースさん» そう言って頂けて嬉しいです！大変申し訳ありません、続編は修正が完了していない為パスワードを掛けさせて頂いております。修正が完了次第公開しますので、今しばらくお待ちください。 (2021年4月27日 19時) (レス) id: f9e6e07d35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘茶 | 作成日時：2018年7月6日 15時
