大寿君の幼馴染

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玄関で靴を履く四人を眺めながら、Aは怪我の具合を花垣に尋ねた。


花垣「え、あ、ハイ…大丈夫ッス。あの…絆創膏とかありがとうございました。」

「どういたしまして。日向ちゃん、元気？怪我してない？」


楽しそうに笑うAに、花垣はハッとした。

未来での大寿は、八戒に殺されているのだ。

その時彼女はどうしたのだろう、と花垣は考える。

大寿と同じ道を辿っているのか、はたまた別の人生を歩んでいるのか。

もし前者であれば、八戒自身が慕っている彼女に手をかけるのは、あまりに酷ではないだろうか。


花垣が思考を巡らせているうちに、もう一人の東卍メンバーである松野千冬とAが挨拶をし合っていた。

松野はAに、大寿の恋人なのかと尋ねる。


「ううん、彼女じゃないよ。」

花垣「えっ、違うんスか？」

「違うよ。でも、」


Aが何か言いかけた時、リビングへ通じる扉が開き、九井が顔を出す。


九井「オイA、そろそろ戻って来ねぇとボスの機嫌がやべぇぞ。」

「お腹空いたのかな？すぐ行くから待ってて。じゃあ皆、気を付けて帰ってね。」


四人が帰り玄関が閉まると、Aはリビングへ戻り大寿の隣へと立つ。

彼はAを横目で睨みつけると、機嫌悪そうに鼻を鳴らした。


「怖っ。お腹空いたの？」

大寿「違ぇ。」

「じゃあなんでそんなに機嫌悪い……わかった！私がいなくて寂しかったんでしょ！？」


Aがタックルの如く抱き着くが、大寿は楽々と受け止めた。

後方では、九井と乾が呆れた顔で二人を眺めている。

視線に気付いたAは、顔を上げ首を傾げた。


「どうかした？」

乾「あーいや……A、料理出来ないんだなと思って…。」


憐れむような視線を向ける乾に、Aはハッとする。


「ココ君！言ったの！？」

九井「言っておかないと、イヌピーしかいない時何かあったら大変だろ。お前の武勇伝。」


彼の言うAの武勇伝とは、中学一年の時の家庭科の授業で起きた事だ。

鍋でお湯を沸かす際、何故かAの鍋だけ火力が異常に強く、不運にも隣にいた教師の前髪が丸焦げになってしまったのだ。

仕方なく野菜を切ってもらおうと包丁とまな板を渡したが、まな板は具材と共に真っ二つになってしまい、以降Aに調理をさせてはいけないというルールが教師陣に設けられたのだという。

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