26 ページ27
Aはソファに掛けてあるシャツとネクタイを手に取り、大寿の後ろに回る。
大寿は飲み終えたコーヒーカップをシンクに置くと、Aが後ろで広げたシャツに腕を通した。
ボタンを留めネクタイを締めると、Aは口元を押さえ蹲り、立てた親指を大寿に向ける。
「今期一かっこいい。」
大寿「この前も言ってただろ。」
「毎回更新されてくから。」
Aは立ち上がり大寿に抱き着くと、彼の胸板に頬を擦り寄せる。
「お付き合いを前提に結婚して下さい。」
大寿「阿呆な事言ってねぇで行くぞ。」
「あ、ちょっと待ってよー。」
スルリと腕を抜け玄関へと向かう大寿を、Aは楽しそうな笑みを浮かべながら追いかけた。
＿＿＿＿＿
夏休みに入り、Aは大寿に会う事がいつもよりも減った。
黒龍の活動により、マンションになるべく近付くなと大寿に言われたのだ。
大寿に会えなくて暇で仕方ないAは、ある場所に向かいながら携帯の通話ボタンを押す。
「もしもーし、柚葉ァ？今暇？ねぇ、暇でしょ？遊ぼ！」
通話の相手は、大寿の妹である柚葉だ。
柚葉《なんでアタシが暇前提で喋ってんの？》
「え、暇じゃないの？」
柚葉《暇だけど。大寿は？》
「大寿君最近遊んでくれないんだぁ、ココ君達との浮気で忙しいみたい。」
電話口からは、柚葉の乾いた笑い声が聞こえる。
柚葉は喋りながら何かをしているようで、カチャカチャと音を立てながら何処へ行きたいのか尋ねた。
「そうだなぁ…竹下通りでも行く？」
Aの提案で乗り気になった柚葉は、「秒で用意する」と張り切って通話を切る。
突然切れた音声にAは目を瞬かせるも、ワクワクしてるであろう柚葉を想像し、口元を緩めて足を柴家へと運んだ。
柴家に到着し「着いたよ」とメッセージを送ると、程なくしてお洒落をした柚葉が扉を開ける。
「おはよ。そういえば八戒は？」
柚葉「八戒は三ツ谷とどっか行った。」
「仲良しだねぇ。」
喋りながら駅へと向かい、電車へ乗る。
目的地に到着し、建ち並ぶ店舗を物色しながら何を買うか話していると、柚葉の肩を後ろから誰かが叩いた。
振り返ると、スーツを着た品の良さそうな男性が二人を見下ろしていた。
彼の周りには少しガタイの良い男が数名おり、周囲の買い物客は彼等を、見てはいけないモノのように扱っている。
誰だろう、とAが首を傾げていると、柚葉がAを自身の後ろに、隠すように下げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 875人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
子持ちししゃも(プロフ) - ムーンさん» コメントありがとうございます！もうすぐ完結なので、是非最後までよろしくお願いします🙏 (5月22日 15時) (
レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - きゃー🥰大寿といよいよですね、ドキドキワクワク🤣 (5月22日 8時) (レス) @page50 id: 899026d120 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - あの場面！！だいじゅが倒された場面やぁ…タカチャンがやられる前に気絶させるのは見させたくなかったとはわかる。 (5月11日 9時) (レス) @page45 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 教会からの物音って……まさか、タカチャン達が……これは夢主がハラハラしてしまう (5月9日 17時) (レス) @page44 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - 鈴桜(元シオン)さん» いつもコメントありがとうございます🤭教会の場面は、この作品を書き始める時からイメージしてたので早く載せたいです！ (2023年4月22日 10時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：子持ちししゃも | 作成日時：2022年5月7日 16時
