24 ページ25
Aは「高校入ったら開けるって言ってただろ」という大寿の言葉にハッとし、そういえば以前そんな話をした事を思い出した。
会話の中での何気ない一言だったが、彼がそれを覚えていた事にAは心が熱くなる。
「ありがとう大寿君…大切にするね。」
Aが背中に抱き着いて頬を擦り寄せると、大寿は鼻で笑い、靴を紙袋に戻す。
大寿「おばさんが粥作っといたって連絡寄越したけど、食えそうか?」
「ん、少し食べようかな……あ!大寿君、ご飯は?」
大寿「俺の分も用意してくれたらしい。」
流石ママ、と笑いながらAは立ち上がるが、足に力が入らず床に座り込んでしまった。
「あれ?」
大寿「掴まれ。」
大寿は膝を付いてそう言うと、Aの腰の辺りに手を回す。
Aが首に手を回せば、彼は片手で軽々と彼女を持ち上げ、空いた手で椅子に掛けてあるブランケットを持ち、リビングへと向かった。
リビングの扉を開けると、廊下と同じぐらい冷たい空気が二人の肺に入り、事前に暖房のスイッチを入れとけばよかったと大寿は後悔をする。
大寿「ちょっと待ってろ。」
大寿はAをブランケットでグルグル巻きにすると暖房のスイッチを入れ、開けっ放しになっていたカーテンを閉める。
キッチンへ入ると、Aの母親に言われた冷蔵庫内の皿をレンジに入れてスイッチを押した。
ちなみに作り置いてくれたのは、オムライスだ。
それを温めている間に、粥が程良い温度になるまで鍋底をかき混ぜながら加熱していく。
粥が温まると、食器棚からAの茶碗を取り出してよそい、オムライスと共に食卓へ並べた。
「あ、いいなぁオムライス。」
大寿「体調治ったら作ってもらえ。」
Aは椅子に座りスプーンを手に取ると、大寿に差し出す。
「あーんして。」
阿呆か、などと言いながらも、大寿はスプーンを受け取り粥を少量掬う。
そして息を吹きかけ冷ますと、スプーンをAの口元へ寄せた。
Aはそれをパクリと口に含み、幸せそうに目尻を下げる。
「ん〜大寿君の愛情たっぷり〜。」
大寿「作ったのはお前のお袋だけどな。」
「ここで大寿君が一手間加える事によって、更に美味しくなります。」
大寿「料理番組か。」
大寿がツッコむと、Aは楽しそうに笑った。
875人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
子持ちししゃも(プロフ) - ムーンさん» コメントありがとうございます!もうすぐ完結なので、是非最後までよろしくお願いします🙏 (5月22日 15時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - きゃー🥰大寿といよいよですね、ドキドキワクワク🤣 (5月22日 8時) (レス) @page50 id: 899026d120 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - あの場面!!だいじゅが倒された場面やぁ…タカチャンがやられる前に気絶させるのは見させたくなかったとはわかる。 (5月11日 9時) (レス) @page45 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 教会からの物音って……まさか、タカチャン達が……これは夢主がハラハラしてしまう (5月9日 17時) (レス) @page44 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - 鈴桜(元シオン)さん» いつもコメントありがとうございます🤭教会の場面は、この作品を書き始める時からイメージしてたので早く載せたいです! (2023年4月22日 10時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2022年5月7日 16時