大寿君の幼馴染

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「あ、あれ？さっきまで寝てたよね？」

大寿「お前が一度ドアを開けた時に起きた。」

「クソっ…シャッターチャンス逃した…！」


Aが悔しさに爪を噛むと、着替え終えた大寿は近付き、彼女の額を弾く。


「痛ぁ！」

大寿「クソって言うな。」

「じゃあうん…」

大寿「もっと駄目に決まってんだろ！」


大寿に口を塞がれたAは、目尻をへにゃりと下げ、大寿の手をトンと指で軽く叩く。

彼は片眉を上げると、Aの顔を覗き込み、押さえていた手を外した。


「誕生日おめでとう、大寿君。」


そう言うとAは背伸びをし、大寿の首に腕を巻き付ける。

身長差がかなりあるので、今のAは足が宙に浮いた状態だ。

巻き付いたAが簡単には離れない事を知っている大寿は、彼女を首にぶら下げたままリビングへと向かう。


大寿がAの足をソファに付けると、回されていた彼女の腕が解け、目が合う。

Aは照れたように笑うと、置いていたバッグから小箱を取り出し大寿に渡した。

受け取った大寿はソファに座り、箱のリボンを解いていく。


中から出てきたのは、十字架の形をした男性物のネックレスだった。

十字が重なる中心部には、7月の誕生石であるルビーがはめ込まれている。


大寿「良いじゃねぇか。有り難く使わせてもらう。」

「着けてあげようか？」


大寿が箱を差し出すと、Aはそれを受け取り、ネックレスを取り出して大寿の後ろに回る。

首にチェーンを回して留めると、Aは大寿の前に戻りハッと息を呑む。


「私センスあり過ぎじゃない？大寿君似合い過ぎて外に出したくない！」

大寿「なんでだよ。」

「全生物の雌に分類される者達を虜にしてしまうから。」

大寿「ならねぇだろ。」


Aは真顔で携帯に写真を数枚収めると、恍惚とした表情で大寿の隣に座る。

そして携帯のカメラを内側に切り替え、大寿と二人カメラ枠に納まると、ボタンを複数押した。


「はぁ…私の旦那様はなんでこんなに素敵なのかしら…」

大寿「…」

「…あれ？いつもだったら"旦那じゃねぇ"って言うくせに今日は何も言わないの？遂に認めた？」

大寿「調子に乗るな。」


大寿が軽く指で突くと、Aはそれさえも嬉しそうに受け入れる。


「ねぇ、今日は何するの？お祝いに鼠国でも行く？それとも買い物？」

大寿「何か欲しいモンでもあんのか？」

「大寿君の愛。」

大寿「それは非売品だ。」

「ふふ、残念。」

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