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宿の中はカメラだらけだった。3つの部屋が一続きになってると喜ぶソクミン。みんな我先にカメラに映ろうと家中を探し回っている。
「あ、ここにも」
「んー……おわ、動いた!ヒョン!」
並んでカメラを見つめていたソクミンがレンズが動いたことに驚いてトイレに入ったジョンハンを呼ぶ。
「カメラ動いた!」
「それどころじゃない。トイレにもカメラある!」
「わーお開放的。よかったー見せられるもんついてて」
「Aヒョンッ?!?!」
「あの人たまにびっくりすること言うよね…」
立ち去る俺の背中をソクミンとジョンハンが引いた目で見ていたことは知る由もない。

「よーしみんな少し話しよう」
パフォチを迎えに行っていたスンチョルが声をかける。全員が一室に集まり輪を作った。
「僕実はこれ持って来た」
ジスがニヤリと笑いコートのポケットからミックスコーヒーを数本取り出した。歓声と共に各々が持ち込んだ食料を輪の真ん中に出して行く。チョコにカップ麺、あと諸々。
「視聴者の皆さんはそれでもご飯くらいくれるだろうって思ってるかもしれないけど」
「本当にないんです」
スンチョルとミョンホが言う。
「隠れて食べるなよ?」
「そうだな。良心的に行こう!」
ソクミンの言葉に全員が賛同した。
少ないチョコレートをみんなで一欠片ずつ分け合えば瞬く間に無くなってしまった。甘い味が口の中に広がって幸福感は湧くのに、腹はちっとも満たされない。
「少し休もう。俺とミンギュで米がないか家の中見てくるから」
「俺も行くよ」
「ヒョンは体調良くないんだから休んでて」
ミンギュが険しい顔する。
「だいじょーぶ。じっとしてると寒いんだ」
「ヒョン達ありがとうございます〜」
スンチョル達と一緒に立ち上がった俺の手をスングァンがにぎにぎと握った。

「Aヒョ〜ン」
「ん?」
台所を探しているとゆるい声で呼ばれた。ミョンホがとことこと近づいてくる。
「これ」
「カイロ?」
「さむいって言ってたから〜」
ミョンホの手には既に暖かくなったカイロ。自分で使っていたんだろう。
「大丈夫だよ。ディエイが使いな?」
「僕はもっと大丈夫〜」
「もっと大丈夫?何それ可愛い…」
俺が笑うとミョンホもニコニコと笑ってしゃがみ込み、俺の手にカイロを握らせて、その手を自分の手で包み込んだ。
「あったかくなれ〜」
「ははっ。ん、暖かい。ありがとな」
カラフルな頭を撫でてやると嬉しそうにまた笑って、皆の所に戻って行く。ミョンホの癒し効果は抜群だ。

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作者名:岡田 | 作成日時:2017年4月15日 9時

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