You ページ18
ーー翌、早朝。
皆が起きる前に1人布団を抜け出した。寝るのも遅かったしめちゃくちゃ眠い。
フラフラしながらも物音を立てないように気をつけて部屋を出る。ふと自分が映った鏡を見ると芸術的な寝癖にうっかり声が出そうになった。
シャワーも浴びられないし、仕方がないから水を付けて適当に直す。こっそりと服を着替え、コートを着て外に出た。
『おはようございます』
外で待っていたのは2人のスタッフとカメラが一台。駆け寄って挨拶をすると自分でカメラに説明するよう言われたので、ここではメンバーに気づかれるからと、とりあえず場所を移動してからカメラを回してもらった。
「おはようございます、セブンティーンのAです。今日はこんな朝早くからPD達に僕のお願いを聞いていただくべく集まっていただきました。実は僕たちのメンバーに魚介類が食べられない子がいます」
『そのメンバーの名前は?」
「チョン・ウォヌといいます。ここは島なので周りは海。今僕たちが手に入れられる食べ物は魚や海藻しかありません。PDニムがタダでは食料を与えてくれないことは昨日でよく分かったので、僕は自力で食料を調達しに行くことに決めました」
力強く宣言するとスタッフがクスクスと笑った。
『Aさん』
「はい」
『ルールはきちんと労働をすることとウォヌ以外のメンバーには言わないことです』
「分かってます、昨日お約束した通り……ふふ」
『何がおかしいですか?』
「いや…僕この企画の構成作家になれるんじゃないですか?」
苦笑いを浮かべるPDについ笑いが溢れる。
実は昨日話をしに行った時、俺はある程度の予測をしていた。恐らく島にある民家をただ訪ねて食料を分けてもらう方法は許されないだろう。だったら、それなりの対価を払うのはどうか、と。
ーー「それと…もし良ければ教えていただきたいのですが、これから僕達が魚以外の食べ物を獲得するチャンスはありますか?あいつ本当に食べられないから、このまま何日も腹空かせたままなんて、僕は見ていられない」
殆ど俺の予想した通りだった。PDははっきりとは口にしなかったけど、明日1日過ごす分だけなら許すと言ってくれた。つまりそれ以降食料を貰える可能性があるはずだ。
『じゃあ出発する前にウォヌにメッセージを』
「ウォヌヤ。ヒョンが栄養があるもの食べさせてあげるからね。期待して待ってて」
カメラに向かって拳を作る。ゆっくりと夜が明けていく。
「さぁて、清々しい労働の時間だ」
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作者名:岡田 | 作成日時:2017年4月15日 9時