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20話 ページ21

〜 Aside 〜


母さんから暴力に耐え続けること三年。俺が七歳の時、突然心臓発作でお爺ちゃん亡くなった。
お婆ちゃんは悲しみにくれ、俺がお婆ちゃんの家に行く回数も増えた。


貴「お婆ちゃん大丈夫?」


千「………えぇ、ごめんなさい。またボ〜ッとしてたみたいね。」


お爺ちゃんが亡くなってからお婆ちゃんは何処かをジッと見る事が多くなった。
そんな時だったな、お婆ちゃんが真剣な顔をして俺を自分の所に読んだ。


貴「お婆ちゃん?どうしたの。」


千「A、貴方にね。渡したいものがあるの。」


貴「なに?僕、誕生日はまだだよ。」


千「そうね。お婆ちゃんからAへの『最期の誕生日贈品(プレゼント)』……って所かしら。」


貴「さいご?お婆ちゃん死んじゃうの?ヤダよ、ヤダ……置いて行かないで。何処にも行っちゃヤダ。」


目に涙を滲ませながら必死に引き止めようとする俺を、お婆ちゃんは何時ものように頭を優しく撫でて落ち着かせた。
俺がやっと落ち着くと、お婆ちゃんは小さく頷くと仏間に掛けてあった一本の刀を俺に見せてくれた。
刀は母さんが生まれた頃からあった物らしく、お爺ちゃんの物だとずっと思っていた。
お婆ちゃんは鞘から少しだけ刀身を出して言った。


千「この刀はね、お婆ちゃんの物なの。若い頃は此れ一本で様々な人から慕われてたわ。でも、もう私はあの世界には帰れない。だからこれと、この力をAにあげようと思うの。」


お婆ちゃんがそう言うと、急に背後から刀を持った女型の何かが姿を見せた。
それが今俺が自分の手足のように扱っている『あらくれ』だ。
目の前の怪奇現象に俺は目を奪われた。そりゃそうだ。今まで怪奇現象とは無縁の生活を送って来た俺にとって、今は驚きしか無かった。


千「無理にとは言わないわ。Aもまだ七歳、子供の貴方に無理強いはしたくないの。ゆっくり考えてちょうだい。」


お婆ちゃんはそう言って刀を元あった場所に戻しに行った。


貴「待って、お婆ちゃん!僕、」






「それ欲しい!」

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むい - 素敵な作品をありがとうございます!リアルでお忙しい中、更新ありがとうございます。これからも頑張って下さい!応援しています。 (2019年3月22日 5時) (レス) id: 89a3c53336 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎 - こんにちは!いつも楽しく読ませてもらってます!続編が出てとても嬉しいです♪そしてオチは、太宰さん!今後どの様に話が進むのか楽しみです!更新頑張って下さい! (2018年5月29日 23時) (レス) id: 4f23ad6532 (このIDを非表示/違反報告)
珈琲チョコ(プロフ) - 楽しみにしております!!作品面白くて大好きです!! (2018年5月29日 21時) (レス) id: 7d0372d436 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無気力ねこ | 作成日時:2018年5月28日 22時

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