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『Mondoを…?だ、れが…?』

「Aが。Mondo好き、なんじゃん」




拗ねたように、フイと顔を背けるSelly。
なんで?と問えば「だって、ハグして好きって言ってた。」とつぶやく声を聞いて、先ほどの状況を勘違いされたのだと気がつく。




『…いや、それは…!』




あの愛の言葉は、



Sellyへの言葉なの。
続く言葉が紡げずに、口を噤んだ。


この沈黙を肯定と受け取ったSellyがグッと顔を歪める。





「Aは…俺のAだ。ずっと、一緒に居ればいいじゃん…」





言い訳もできずに彼の言い分を聞くしかない。
だってコレは私が悪い。
先程の状況を明確に説明しない私が。





「仕事しなくて良いよ…友達も作らなくていい……ずっと俺と一緒にいる、してよ…俺だけを見ててよ…」




私に縋り付くようにして呟くSellyを抱きしめることはしなかった。

今度の私は流されない。
2年前の二の舞は踏まない。



『Sellyは私にお人形さんみたいにしてて欲しいの?』

「…は?」

『お人形さんみたいに、なにもせず、Sellyに養って貰って。お荷物みたいな私が良いの?』





お願い否定して。
そんな願いを込めて。

ずっと思っていた事を初めてオブラートに包まずハッキリと伝えた。





「…それで良いじゃん、おれA養うよ」




へらりと笑うSelly。
2年経っても、何も分かってない。

ずっと、ずっと訴えていたのに。
怒らせないように、優しい言葉でだけど。

伝えていたつもりなのに。



何も伝わっていなかったのか。




ブチっと自分の中の何かが切れる音がした。





『Selly…私はね、Sellyのペットでも、お人形さんはでもないの…!一人の人間なの…!』




2年越しにやっと言えた本音。
勢いで突き放したSellyはビックリした顔でコチラを見ていた。

そうよね、2年前の私は本当に貴方のお人形みたいに。
口答えなんてせずに従って居たものね。




『私はSellyの所有分じゃない。私は…私は…!!!!!』




ー貴方の横に、堂々と立って居たかったんだ。



酔いとSellyの香りに、涙腺が侵されてゆく。
ボロボロと溢れる涙が止められない。


上手く言葉が紡げず、グッと拳を握って大声あげた。




『Sellyのバカ!わからずや!!!!!!』


そんな子供ぽい捨て台詞を吐いて、私はSellyの部屋から逃げ出した。

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ならか(プロフ) - にやけ止まらんくて焦る (2月14日 18時) (レス) @page30 id: 72407f8835 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - Arce_さん» ありがとうございます!彼らのafter storyは少し書けたらとは思ってます!お褒め頂いてありがとうございます! (10月1日 17時) (レス) id: 59d1a36373 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 青い目の宝石さんさん» ありがとうございます!褒めて頂いて本当に嬉しいです〜!!! (10月1日 17時) (レス) id: 59d1a36373 (このIDを非表示/違反報告)
Arce_(プロフ) - 読んでて楽しかったです!完結寂しいですが、おめでとうございますTT♡ (10月1日 4時) (レス) @page30 id: c41d959350 (このIDを非表示/違反報告)
青い目の宝石さん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!めちゃめちゃ面白くて見やすかったです!!(о´∀`о) (10月1日 0時) (レス) @page30 id: c88fb3b6cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おこめ | 作成日時:2023年9月18日 13時

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