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それは音から察するに結構な大雨で。


この雨の中、私を支えながら傘をさして歩く彼が不憫に思えて仕方がない。すみませんすみませんすみません、と心の中で三回程謝って、ちらりと彼の表情を伺ってみる。


相変わらず何も読み取れない。眉根を寄せる様子も、こめかみを引くつかせる様子も、全くなかった。



「…あの、その…雨、やばいですね」

「…ええ、そうですね。」

「あの、タクシー呼びます、この雨の中送らせるわけには、」

「徒歩数分の距離をタクシーで帰るつもりですか?」



うーん…。徒歩数分なのにタクシーはなんかちょっとあれかなぁ。うーん…ダメだ、酔いのせいで頭が回らない。唸ることしかできない。

…が、お酒に強いらしくど素面(シラフ)の彼は、変わらず無表情のままこう告げた。


「…さっきのように冗談ではなく、本当に泊まりますか?」


「…え?」


咄嗟には理解出来ず、やはりふわふわした頭を必死に働かせる。ええと、泊まる。泊まるって、三連休だし問題はない…?いや、根本的に問題がそこじゃないような。…だめだ、自分でもなに考えてるかわからなくなってきた。



「…随分と酔っていますね?」

「はい…」

「…今日は楽しかったですか?」

「はい…」

「では、今日は泊まっていきますか?」

「はい…」



…って、あ。


なんて、気づいた時には痺れを切らした彼の口車に乗せられていたのだった。

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こめこ(プロフ) - 疾風さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です、これからもよろしくして頂けると幸いです! (2019年7月1日 4時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
疾風(プロフ) - 少し遅くなってしまいましたが、完結おめでとうございます!こめこさんの書く作品どれも大好きなので、こめこさんを知れて良かったです!これからも頑張ってください! (2019年7月1日 2時) (レス) id: d43b897b4c (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - かなでさん» ほかの作品も読んで頂けているんですね、嬉しいです!ありがとうございます、拙い文章ですがこれからもよろしくして頂けるとありがたいです! (2019年6月29日 20時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - あさぎさん» 3期でドスくんに落ちた人は多いだろうなって見込み、、うふふ。コメントありがとう!あさぎちゃんも早く新作書いてね( (2019年6月29日 20時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - ねこ娘さん» ありがとうございます!違和感なく、というのは本当に嬉しいです!読んでいる途中でアレ?ってなると気持ちも冷めてしまいますから気をつけているつもりでした。次作も頑張ります、よろしくお願い致します! (2019年6月29日 20時) (レス) id: a5ceb500b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめこ | 作成日時:2018年12月22日 19時

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