【文スト】これはやられた。【太宰治】

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謎のゲームが始まってしまった。なんだろう、これ。

あのあと付け足されたルールで、太宰さんも私に色々仕掛けてくるらしい。

それで私が照れたら黒星がひとつ。一ヶ月なので三十個、黒星が付いたら私の負け。彼を一ヶ月以内に照れされることが出来なかった場合も私の負けだ。

私が有利なようで、実はちっとも勝ち目なんてない。そんなのは明白だ。

それにしても、財布のこと、黙っていて貰えるようでよかった。

…何も私だって、盗みたくて盗んでいるわけじゃない。仕方がないのだ。


明日から、ゲーム、頑張ろう。




ああ、今日はそろそろ来るだろうなぁ、…



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彼女、Aちゃんのことが、


ずっと気になっていたのだ。


というか、好きだったに近いのかもしれない。


落ちている空き缶を拾うような彼女が。風で倒れている自転車を起こしたりするような、心の綺麗な彼女が。


盗難行為をするなんて、信じがたかった。


容姿だけでなくて、心まで綺麗な女性なんだな、とずっと気になっていたのに。


驚きのあまり声をかけてしまった。


きっと何か理由があるのだろうけど、話してくれそうな感じではなかった。


だけど、折角話す機会を得たし、ゲームを持ちかけてみた。ただこの先仲良くなるための口実だった。


勝ったら、何をお願いしようかな。スリをした理由を聞くのも、交際を申し込むのも、こんな風に断れない環境を作らずとも出来てしまう。


＿まあ、ひと月もある訳だし、じっくり考えようかな。

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