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「あ、今、照れたでしょ。」
「う、なんでわかるんですか、」
「だって顔が赤いもの。」
「泣いたからです!」
今日も負けてしまった。六つ目の黒星だ。
悔しい。
ところで、と続けられた彼の声が嫌だった。その先を予測できたから。きっと聞かれるのは泣いた理由。
「どうして泣いていたの?」
ほら、やっぱり。
なんて言い訳しよう。ああ、この人に、嘘をつくのは、二回目だ。
前より心苦しいのはきっと気の所為。
「えっと、頭をぶつけてしまって、痛くて、
仕事にならなくて。仕事もできないなんて、
駄目人間すぎるなって思ったら、」
泣けてきたんです。
そう続けたかったのに、彼に口を抑えられたから、叶わない。
「君が私に嘘をつくのは二回目だね。
多分、今の話、半分は本当で半分は嘘。
頭の怪我、さっき触れた感じだと、何かにぶつけた感じじゃないよ。」
なんでわかるんだろう。凄い。
単純な尊敬と畏怖が湧き上がる。
いっそ話してしまいたい、受け入れてほしい、あわよくば解決してくれ、なんて無関係の人に対する半ばエゴの押し付けのような、そんな気持ちも溢れ出した。
「太宰さんは、優しいですね。」
それだけ感情がぐちゃぐちゃでも、私の口をついて出てくるのは、たったそれだけだった。
相談したいのに、五日後には同じ恐怖に怯えなきゃならないのに、本当は怖くて怖くて仕方が無いのに。
「話してくれたら、手を貸すよ。」
これが弱みにつけこもうとしているなら、この人は本当に
その狡さに今は甘えたい。
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つじ(プロフ) - 黒糖。さん» お返事遅れました。過去の作品ですが、読んでいただけて本当に嬉しく思います!コメントありがとうございます。 (2021年7月31日 14時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
黒糖。 - これまで見てきた太宰さんの小説上位に食い込みました....!!いつも余裕そうな人が見せる照れ顔って最高に刺さりますよね....←応援してます! (2021年7月26日 17時) (レス) id: e962db8aef (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - カコさん» わわわ、ありがとうございます!嬉しいです!最後まで読んでいただき、感謝です! (2018年7月28日 23時) (レス) id: 349231008c (このIDを非表示/違反報告)
カコ - かわいかったあああ!!もう、やっとくっついたかって感じだった!素敵なお話ありがとうございました! (2018年7月28日 23時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 長月冬麻さん» わー!ありがとうございます、明日の朝と言っていたのですが、明日の夜になりそうです…頑張ります、ありがとうございます!最後の一言は殺し文句ですよ、無事禿げました、ありがとうございます!、 (2018年7月27日 23時) (レス) id: 0632503f0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこ | 作成日時:2018年7月15日 20時