【文スト】パスワード【太宰治】

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「…そう、まあ頑張りたまえよ。」

きっとバレてる、この人、凄いもん。
どうせ、私の誕生日に錠を設定したのもわざと。期待させておいて、きっと、違うんだ。前好きだった人が、過去が、そうだったから、どうしても信用できない。この人じゃなくて自分をだ。

「私あきらめませんからね、ヒントいっぱい下さいよ。」

バレていてもいい、別に。きっとこの人なら私の考え、全部見透かしてくれる。

そんな甘えに縋って、背の高いその人を見上げる。


「…関係ないのだけれどね、明日君お休みでしょう？良かったら、遊びに行かないかい？」

「えっ、休みって、どうして知ってるんですか？」


素朴な疑問。そりゃあ気になる。休みを把握されているなんて、少し怖いじゃないか。

でも、休みの日を気にかけてもらえる程度には彼の中を占拠出来ていることが嬉しかった。

「うーん、それはまだ秘密。」

少し考えるような素振りをわざとらしく取ったあとでそう告げた彼はやはり格好いい。顔がいいって、すごい。

「行きたいです！、でも太宰さんは休みなんですか？」

「私は出社しても仕事をしないからね、居ても居なくても同じさ。」


いや、これでいいのか。つまり明日仕事なんだよね。



私に予定を合わせてくれることが嬉しい、


素直にそう思った。

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