検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:61,470 hit

貴方の口から。 ページ29




酷暑が続く今日この日、私はひとつの頼み事を彼にすべく、仕事後にデートする約束を取り付けた。


そして今、就業時刻を過ぎて皆が帰る時間である。


待ち合わせは探偵社の玄関にあたる部分のドアの前。仕事終わりそのまま、という話だ。



「ごめんね、お待たせ。」


「あ、太宰さん。お疲れ様です。」


今日は私の家で一緒に食事をする約束なのだ。
しっかりと料理の準備もしてきたつもりである。


「今日は珍しいね、君から誘ってくれるなんて。」


「嫌でしたか?」


「まさか。嬉しいよ。」



と、私の家が見えてくる。通勤に便利なように、と思って近場で借りたアパートだ。


彼がうちに来るのは、多分二度目だろうか。


「どうぞ、上がってください。」


「ありがとう、お邪魔します。」


帰ってきた時に暑くないよう、エアコンを付けていたのだった。リビングへの扉を開いた瞬間、冷たい風に包まれる。



座って一息付いたところで、本題に入った。



「太宰さん。お願いがあるんです。」


「なにかい?」


呼吸を整えて打ち明ける。しばらく抱えていた願い事。


「お恥ずかしい話なのですが、



私、太宰さんの口から、好きって、言ってもらいたいです。


まだ、言われたことないので。」



言い終えたあとで恥ずかしくなって、思わず俯く。



彼が立ち上がって、こちらに近付いてくる気配がした。

・→←新作宣伝



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (128 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
188人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こめこ(プロフ) - どんぐりさん» お読み頂けて嬉しいです、コメントありがとうございます!どんぐりさんの作品大好きなので、5割増くらいで嬉しいです (2019年3月17日 8時) (レス) id: 0632503f0e (このIDを非表示/違反報告)
どんぐり(プロフ) - コメント失礼します。二人の駆け引きと遠回りな恋模様が見ていて面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2019年3月17日 2時) (レス) id: af82a43e6e (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - カコさん» カコさん、いつもありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです、素直じゃない感じをコンセプトにしていたので!フロチャも楽しんで頂ければな、と思います! (2018年7月10日 21時) (レス) id: 349231008c (このIDを非表示/違反報告)
カコ - めっちゃ良かった・・・どストレートじゃない、回りくどい感じが凄く好きです。骸砦の方も近いうちに読ませていただくつもりです。 (2018年7月10日 20時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 雪兎さん» ありがとうございます!おまけ、できるだけ早く書きますね。次はもっと面白いものが書けるよう頑張ります! (2018年6月10日 11時) (レス) id: 349231008c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こめこ | 作成日時:2018年5月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。