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瑞々(みずみず)しいサラダを食べたばかりで潤っていた口の中が、からり、と渇くのを感じた。

あ、ダメだ、この目、好き。


緩く弧を描く口元と同じように歪められた目、全部わかってるとでも言わんばかりに優しい声を落とすその綺麗な顔から目が離せない。

相も変わらずイケメンなその人に嘘をつくことなど、きっと出来る人はいない。



「…実は、もう、開いたんです。」


私は正直に言った。隠し事なんて、申し訳ないし一方的に気まずいから。


「中、見てくれたかい?」

開けられてないことくらいきっとわかってるんでしょ、と心の中で思いながら首を振った。
そんなの無理に決まってる、この人の想い人なんて、知りたくない。

聞いたのは私、知りたがったのも私。

矛盾してるなぁ、なんて思ったけれど、そこを突いては来なかった太宰さんに少し安心した。


「どうして開けないの?」


それは矛盾を突かれない代わりに、もっと困る質問だった。あなたを好きだから知るのが怖い、なんて口が裂けても言えない。悟られて居たとしてもそれだけは、とずっとこの気持ち、所謂(いわゆる)恋心というものを、ひた隠しにしてきたのだから。


「…それは、言えません。だけど、」

いずれ、開けるので。と続けようとした言葉は遮られた。

彼の爆弾発言によって、私の心境は一転する、そんな未来を予測することなんて私には不可能だったのだ。ただ、何も意識せずに、ねぇ、と呼び掛けるようにこちらに飛ばされた声に耳を傾けてしまったのだ。



「勇気がないなら、今ここで言ってあげるよ。」

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設定タグ:文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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こめこ(プロフ) - どんぐりさん» お読み頂けて嬉しいです、コメントありがとうございます!どんぐりさんの作品大好きなので、5割増くらいで嬉しいです (2019年3月17日 8時) (レス) id: 0632503f0e (このIDを非表示/違反報告)
どんぐり(プロフ) - コメント失礼します。二人の駆け引きと遠回りな恋模様が見ていて面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2019年3月17日 2時) (レス) id: af82a43e6e (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - カコさん» カコさん、いつもありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです、素直じゃない感じをコンセプトにしていたので!フロチャも楽しんで頂ければな、と思います! (2018年7月10日 21時) (レス) id: 349231008c (このIDを非表示/違反報告)
カコ - めっちゃ良かった・・・どストレートじゃない、回りくどい感じが凄く好きです。骸砦の方も近いうちに読ませていただくつもりです。 (2018年7月10日 20時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 雪兎さん» ありがとうございます!おまけ、できるだけ早く書きますね。次はもっと面白いものが書けるよう頑張ります! (2018年6月10日 11時) (レス) id: 349231008c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめこ | 作成日時:2018年5月4日 21時

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