検索窓
今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:18,801 hit

エピローグ ページ41



ここは、異能特務課。
デスクの前で中島敦がこっくりこっくりと船を漕いでいる。
敦の頭がパソコンの画面に当たり、敦が呻き声をあげる。

「ふがっ! いだ!」

「中島君。ちゃんと仕事をして下さい」

安吾が敦を乱暴に起こす。
「嫌ですよお……もう……徹夜三日目ですよ……」
敦の机には栄養ドリンクが何本も転がっている。『元気ハツラツ』と云う文字が虚しい。机の上には、『可能世界報告書』が置かれている。

敦は伸びをして再びパソコンに向かう。パソコンの隣にはもう何本も栄養ドリンクが待機している。さっき安吾が置いて呉れていたのであろう。栄養ドリンクが増えている。

すぐに眠気が襲ってきて、机に突っ伏す。敦の視界に写真が入る。
その写真は、探偵社のみんなが映っている。だが、敦の目はそこに映った一人だけを映す。

『本』の記憶を辿る。『本』の記憶を見て書き写す。それが敦の仕事だ。長い時間がかかろうとも。

過ちをおかさないように。

平和のために。

故きを温ねて新しきを知る、と云う先人の教えがふと、頭をよぎる。
三日かかって最後のファイルを作る。
enterを押す。
長い仕事が終わる。
 
___了


以上が#01233『可能世界事件』の全貌である。持ち出しを固く禁ずる。
作成者:中島敦

作者から→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:空白時 , 中島敦,芥川龍之介 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

珀秋そら(プロフ) - 感想正座待機でお待ちしておりますべ (2022年8月9日 18時) (レス) id: ae0531e6bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空白時 | 作成日時:2021年7月9日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。