エピローグ ページ41
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ここは、異能特務課。
デスクの前で中島敦がこっくりこっくりと船を漕いでいる。
敦の頭がパソコンの画面に当たり、敦が呻き声をあげる。
「ふがっ! いだ!」
「中島君。ちゃんと仕事をして下さい」
安吾が敦を乱暴に起こす。
「嫌ですよお……もう……徹夜三日目ですよ……」
敦の机には栄養ドリンクが何本も転がっている。『元気ハツラツ』と云う文字が虚しい。机の上には、『可能世界報告書』が置かれている。
敦は伸びをして再びパソコンに向かう。パソコンの隣にはもう何本も栄養ドリンクが待機している。さっき安吾が置いて呉れていたのであろう。栄養ドリンクが増えている。
すぐに眠気が襲ってきて、机に突っ伏す。敦の視界に写真が入る。
その写真は、探偵社のみんなが映っている。だが、敦の目はそこに映った一人だけを映す。
『本』の記憶を辿る。『本』の記憶を見て書き写す。それが敦の仕事だ。長い時間がかかろうとも。
過ちをおかさないように。
平和のために。
故きを温ねて新しきを知る、と云う先人の教えがふと、頭をよぎる。
三日かかって最後のファイルを作る。
enterを押す。
長い仕事が終わる。
___了
以上が#01233『可能世界事件』の全貌である。持ち出しを固く禁ずる。
作成者:中島敦
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珀秋そら(プロフ) - 感想正座待機でお待ちしておりますべ (2022年8月9日 18時) (レス) id: ae0531e6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空白時 | 作成日時:2021年7月9日 13時