君を、喰べたい【及川徹】

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「…A？？どうしたの？
急に顔色悪くなったけど…具合でも悪い？」






本気で私を心配してくれているのが伝わってくるような表情に思わず怯み、返事をすること無く俯くと
彼は私の手を引き自分の方へと引き寄せた






「…保健室、行こうか。」






確か放課後この時間は、保健室の先生が居なかったはず・・
鍵、空いてるのかな？





そんな事を考えているうちに私はあっという間に教室の外へと連れ出されてしまった






「…及川さんっ…ここ、学校だから手を離して…。
恥ずかしいから…。」




「…えー、何で？？
Aは俺の彼女なんだってみんなに見せ付けたいんだけどなぁ。」







そう言ってさっきより強く指を絡めた彼は、優しい笑顔でニコっと微笑む
もう何度も見た笑顔なのに、その余りにも綺麗な笑顔を今だに凝視することが出来ず、私は咄嗟に視線を逸らした







「もー、照れちゃってー！
Aは本当に可愛いよねぇ」








本当は、私が具合が悪いんじゃないって気付いていたんだと思う
彼の事だから、ただ二人きりになる為に保健室に行こうとしているのだろう






二人きりになったら、私は何をされるの？





抱きしめられるだけで息が苦しくなる程に緊張してしまうのに
それ以上の事なんかされたらもしかしたら死んでしまうかもしれない







「…ねぇ、今…なんかイヤラシイ事考えてたでしょ？」






「…えっ！？！」








「あははー、顔に出過ぎだよ？
ただ保健室行くだけなのに、期待しちゃってるなんてAも変態だなぁー」








こんな他愛ない会話を彼として、笑い合えるだけで幸せだった
岩ちゃんは及川はやめておけ、なんて言ってたけど欠点の無い彼と付き合いたくない女子なんか多分居ないはず

きっとすぐに飽きられて捨てられるのがオチなのかもしれないけど、別にそれでも構わないと思っていた

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