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眠そうな目を擦った岩ちゃんは、何かを察したような表情で一度言葉を飲み込むと
何も言わずに私に手招きをした





きっと一瞬で理解してくれたのだろう
私と及川さんに何かがあったのだと








「…岩ちゃん、文化祭まわらないの?」







「あー…なんか怠くて。
明日もあるんだろ?なら別に明日でいいかなって。」






縁日用のエプロンがやたら似合う岩ちゃんは欠伸をしながら優しく微笑んだ





「…岩ちゃんらしいね。
本当、バレー以外興味ないんだから」






友達といる時間はどれも皆楽しいけれど、岩ちゃんと過ごすこのゆったりとした時間は格別に楽しい




気兼ね無く何でも話せる大切な友達である岩ちゃんは、ズボンのポケットからあのストラップを覗かせていた






「…お前、大丈夫?…何か顔色良くないけど。
及川に何かされたらすぐに言うんだぞ?俺がガツンと言ってやるから」








頬杖を付き、心配そうに私を見上げる岩ちゃんの優しい眼差しに涙腺が少しだけ緩む



お母さんみたいに優しい岩ちゃんはいつも私を心配してくれて、いつも辛いときに声を掛けてくれた





「…ありがとう。岩ちゃん。」






岩ちゃんの反対を押し切ってまで私は及川さんを選んだのだから、岩ちゃんを頼る訳にはいかない




喉元まで出かけた「辛い」の言葉をぐっと飲み込み、勘付かれないように笑ってみせた





「…そうか。まあ、ならいいんだけどさ。
及川は、多分本当にお前の事を想ってるはずだよ。
いつもお前の話ばっかりしてるし。」






「しつこくされたら俺に言うんだぞ?」
岩ちゃんは、椅子から立ち上がると、私の頭をくしゃっと撫でながら笑う






「岩ちゃん、本当お母さんみたい!」






忙しなく人が行き交う騒がしい校内の中
唯一時間がゆっくり過ぎているかのような静かな教室で、和やかに笑い合っていた時だった








「…Aっ!!
こ、こんなとこにいたの?!」





大きな声で名前を呼ばれ
振り返った先には、息を乱した及川さんの姿があった






「及川さんっ…?!」






どうしてここにいるとわかったのだろうか??
彼は私達を見た瞬間眉を垂らし、目を細め、大きな溜息を付いた







「…及川ー。お前やっと抜け出せたの?
クラスの奴らお前がサボらないようにずっと見張ってたもんなー
本当、お疲れさん。」

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ルーナ - すごくいい話でした。及川さんマジカッコイイ〜! (2017年5月20日 20時) (レス) id: cc80c3096f (このIDを非表示/違反報告)
fantakirai(プロフ) - もう、マジ尊敬します。絵も上手くて、内容も素晴らしくて…憧れますね!!完結お疲れ様でした!!漫画に出来るくらい凄い作品だと思いましたァァァ!!!! (2017年2月5日 23時) (レス) id: 9982731846 (このIDを非表示/違反報告)
Florenzia - 素晴らしいです! ヤンデレ感が最高でした。 絵が美しすぎて…漫画化して欲しいヽ(;▽;)ノ (2016年8月13日 23時) (レス) id: cc4291c704 (このIDを非表示/違反報告)
月世 - ヤンデレが大好きなので(特に及川たん)とっても良かったです!!!次回作も、読みます! (2015年12月29日 21時) (レス) id: 0439949b3a (このIDを非表示/違反報告)
ほの - この作品はやっぱり好き・・・!!何回も見ちゃう。 (2015年12月20日 10時) (レス) id: 678d7ca983 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月廻 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年9月20日 6時

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