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13時を20分位過ぎた頃
早番だった生徒が遅番の生徒と入れ替わる時間帯に差し掛かり

私は友達に後を頼んで視聴覚室を飛び出した






真っ暗な中にいたせいか、廊下は異常に明るく、明暗の調和が取れずに目眩がする程に眩しい





約束していた時間より少し遅くなってしまった為、私は急いで彼がいる教室へと向かった


だが、着いてみるとたかが縁日だと言うのに、教室内は人で溢れ返り入室さえ困難な状況になっている





やっぱり及川さん効果ね・・





私は控え目に人並みをぬいながらドア付近から教室内を覗くと
あのエプロンを付けた彼が、楽しそうに笑っている姿が視界に飛び込んだ







女の子の手を握り、和かに話す彼はあの例の殺人級スマイルを振り撒き
女の子達は黄色い声を上げて喜んでいる





なんだ・・楽しそうにやってるじゃん・・





やっぱり、私は彼とは釣り合わない
あんな風に人気者な彼を独り占めするなんて私には出来る訳がない


最初から誘ってくれたいつもの友達と約束しておけばよかったと後悔の念が込み上げた








「…あっ!!A!?
もう終わったんだね!俺も今行くから!!」







私に気付いた及川さんは、慌てたような声を上げ
握っていた女の子の手を離した







嫌だ・・・
なんか・・・私・・辛いかも









「…ご、ごめんなさい、及川さん!
私…他の子と回るからっ…!!」







なんて馬鹿なんだろうか?
今更友達のところになんか行けないし、他に約束なんか無いのに・・
彼を避けるような言葉を投げ付け、小走りで廊下へと逃げ出した








「え!?A?!待ってよ!」








彼が私を引き止める声が薄っすら聞こえたけれど、この極まった気持ちが静まるまで
誰にも顔を見られたくない・・




きっと、泣いてしまう








3年にもなると、文化祭中でも誰も立ち入らない場所を自然と覚えるようで
私は普段は選択授業なんかに使う、滅多に誰かが立ち入ることの無い静かな教室の扉を静かに開けた









「あれ…、岩ちゃん…??」







扉を開けてすぐに視界に飛び込んで来たのは窓際の椅子に腰をかけた岩ちゃんの姿だった








開け放たれた窓からは相変わらずの青い空が顔を覗かせ
心地よい風が教室内に吹き込んでいる





「…ああ、A。
どうした?こんなとこに来て…」

3→←18日目ー文化祭当日ー



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ルーナ - すごくいい話でした。及川さんマジカッコイイ〜! (2017年5月20日 20時) (レス) id: cc80c3096f (このIDを非表示/違反報告)
fantakirai(プロフ) - もう、マジ尊敬します。絵も上手くて、内容も素晴らしくて…憧れますね!!完結お疲れ様でした!!漫画に出来るくらい凄い作品だと思いましたァァァ!!!! (2017年2月5日 23時) (レス) id: 9982731846 (このIDを非表示/違反報告)
Florenzia - 素晴らしいです! ヤンデレ感が最高でした。 絵が美しすぎて…漫画化して欲しいヽ(;▽;)ノ (2016年8月13日 23時) (レス) id: cc4291c704 (このIDを非表示/違反報告)
月世 - ヤンデレが大好きなので(特に及川たん)とっても良かったです!!!次回作も、読みます! (2015年12月29日 21時) (レス) id: 0439949b3a (このIDを非表示/違反報告)
ほの - この作品はやっぱり好き・・・!!何回も見ちゃう。 (2015年12月20日 10時) (レス) id: 678d7ca983 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月廻 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年9月20日 6時

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