第七章 懐かしの味 ページ24
そして週明けの月曜日。
これからまた一週間が始まると考えると、憂鬱で仕方ない。
「ねえA。彼氏いたの？」
部活は月曜日オフだから遅めに学校に行くと、私の机の前で広尾が声を掛けてきた。
“彼氏”と言われても、私は何のことかさっぱり分からない。
「き・の・う。男の子と出掛けてたんでしょ？」
ああ、あいつらが言ったのか。
昨日出会った女子が広尾に言ったんだと思う。
恐るべし、女の情報網。
「だから付き合ってない。たまたま一緒になっただけ」
「でも手繋いでたんでしょ？」
「私の意志じゃないから」
「ふーん。てかあれ、1年生だよね？」
「だから何！？」
いちいちつっかかってくる広尾が鬱陶しくて、怒鳴ってしまった。
目の前の女は瞳孔が開きそうなくらい。
「まぁいいや。あの子モテるらしいから、気を付けてね」
そう一言、彼女はいつものグループへと帰って行った。
何なの、いちいち。
私のモヤモヤとした感情は、近くのうるさい男子によって消された。
それから昼休み。
4時間目が終わった途端にうるさくなる教室で、ひとり私はボーっとしていた。
『……先輩、最近屋上来ないっスね』
そんな声が脳内を駆け巡る。
鞄に入っていた弁当と水筒を取りだし、私は颯爽と屋上へ向かった。
いつもは何の感情もなく向かう屋上が、今は誰かをめがけて一目散。
ギィと錆が悲鳴を上げる扉を開けると、いつも私がいた場所で影山くんが待っていた。
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ハルジオン(プロフ) - 太宰亜里沙さん» コメントありがとうごさいます。楽しんでいただけてなによりです！ (2020年7月14日 17時) (
レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - コメント失礼します！凄く面白くて一気読みしちゃいました！静かな夏の描写や素敵な影山をみれてとても読んでいて楽しかったです！ (2020年7月14日 12時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
ハルジオン(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます。夏の描写はかなり気を使っていたので、そのように言っていただけて光栄です！ (2020年7月11日 13時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - 影山くんと主人公の不思議な関係、対して、鮮明な夏の描写。素敵な文章に幾度も胸をきゅっと締め付けられるようでした。最後の文章で、一気に世界が色づくような錯覚を覚え、思わず泣きたくなるような気持ちになりました…！ (2020年7月11日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルジオン | 作成日時：2020年6月21日 13時
