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どうしよう、あれが先生なら叱られるに違いない。
どこか隠れる場所を探さねば……。
「「あ」」
そんなことを考えている間に、その人物はこちらを見ていた。
……あれ、制服？ ってことは生徒。
良かった、咄嗟にそう思った。
「あの、ここ使ってもいいスか？」
男の子は手にボールを持っている。
練習でもするのだろうか。
「……どうぞ」
本当は一人でいたいところだけど、それを理由に断るのも違う気がする。
どうぞ、と控えめに発した。
「あざっス」
男の子はぺこりとお辞儀をし、私と対角線のところで練習を始めた。
青と黄のボールを頭上でポンポンしている。
「……バレー、か」
そのうち壁に向かって強烈なボールを打ち、そのボールは綺麗に彼の元へと返っていく。
ボールが飛んでいったらどうするんだろう、と思いつつもフェンスが高いことを確認。
黙々と箸を進める中、彼をじっと見ていた。
上靴の色からして彼は一年生。私の一つ下。
一年生にも関わらず、身長は結構高い。
流石、バレーをやっているだけあるんだろうな。
名前も知らない子に感心した。
そろそろ教室に戻る頃。
弁当箱を綺麗に片付け、お茶を飲んでいた時＿＿＿
「危ない！」
水筒の先端に強い衝撃を感じる。
共に自分の飲んでいたお茶が、顔に降り注いできた。
この瞬間がコマ送りなのか早送りなのか、よく分からない。
顎からポタポタと滴が垂れ、白い制服は薄い茶色が染みている。
「スンマセン！ 変なことに飛ばしちゃいました……」
男の子はこれでもかと頭を下げ、私に詫びている。
少し腹立つけど、許しざるを得ない状況。
「いいよ、気にしないで」
洗って体操服着てれば問題ない。それに、程よく涼めたし。
予鈴が鳴る前に着替えを済まさなければいけないため、急いで片付けた。
「あの、本当にスンマセン……」
「いいよ。私の不注意だから」
そう、ちょっとぶっきらぼうに返事をした。
男の子は最後まで頭を下げ、私を見送った。
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ハルジオン(プロフ) - 太宰亜里沙さん» コメントありがとうごさいます。楽しんでいただけてなによりです！ (2020年7月14日 17時) (
レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - コメント失礼します！凄く面白くて一気読みしちゃいました！静かな夏の描写や素敵な影山をみれてとても読んでいて楽しかったです！ (2020年7月14日 12時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
ハルジオン(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます。夏の描写はかなり気を使っていたので、そのように言っていただけて光栄です！ (2020年7月11日 13時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - 影山くんと主人公の不思議な関係、対して、鮮明な夏の描写。素敵な文章に幾度も胸をきゅっと締め付けられるようでした。最後の文章で、一気に世界が色づくような錯覚を覚え、思わず泣きたくなるような気持ちになりました…！ (2020年7月11日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルジオン | 作成日時：2020年6月21日 13時
