立場 ページ10
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渋谷side
騒動の後、入学式の後片付けやら色々と教師としての作業を終え家に帰ったら、親友の片割れに電話をかける。
「もしもしヒナぁ？今時間大丈夫か」
「…何かあったんか」
開口一番これである。…全く、コイツらのブラコンっぷりには頭が下がるわ。
音を漏らさない程度に苦笑をこぼすと、今日起きた出来事を口にする。
「入学早々、"お兄ちゃん達以外の' ファーストキッス、奪われとったで」
「はぁ！？」
思わず電話口を耳から離してまいそうになるほどのヒナの声量に顔をしかめる。
「っおいスバル！冗談言うてるんちゃうやろな！」
「んなモンお前らにとっちゃ冗談や済まされんコトくらい俺が一番わかっとるわ…ホンマやホンマ」
「…せやんなぁ」
普段は淀むことなくよぉ喋るヒナが、言葉をフェードアウトさせていくとともに暫く黙りこくってしまった。 よっぽど最愛の弟の唇が奪われたことがショックやったんやろう。
「…んで？相手は誰や」
「忠義の１個上の安田言うやつや。金髪に耳ピアスのどチビ。…まぁ、悪いヤツではないんやけど、多少喧嘩ッぱやいところはあるわなぁ」
「…そうか」
ヒナは少しだけ声のトーンを落とした後、再び暫しの沈黙をつくり囁いた。
「…スバル。ごめんやけど、このコトは侯隆には…」
「わかっとる。せやからまずお前に報告したんやないか。
…あの弟第一主義の侯隆がそんなん聞いたら、どうなるかわかったモンやないからな」
切れ長の目を見開いて卒倒するもう一人の親友の姿を思い浮かべて、クックと喉を鳴らす。
「…まぁ。学校ではこれ以上のコトがないように、俺も目ぇ光らせておくわ。…ほなな」
「…ありがとさん。さすがタツが第３の兄貴やと認めるだけはあるわ」
ほな、明日からも頼んだで。と言うヒナの言葉にコクリと頷いてから通話終了のボタンに手を触れた。
「……兄貴、ねぇ…」
…俺としてはもう少し、アイツとは違った関係性になりたいんやけど…
…ケド、親友の絆は解きたくないねんなぁ。
ズキリと傷む胸に手を当て自嘲的な笑みを浮かべたら、コトリとケータイを置いて冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
「…入学おめでとう」
それ以上の言葉は、どうしても口には出せず俺はゴクリとビールを口内に流し入れた。
独特の苦味は、まるで俺を戒めるかのようにいつまでも口の中に残ったままやった。
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あらと∞(プロフ) - 緑夏さん» 緑夏さん、いつも温かいコメントをありがとうございます！いえいえ、そんなとんでもない！私の方こそ、今も毎日緑夏さんのtorn小説をひっそりと楽しんでいるというのになんのコメントも送れていないで…申し訳ないです汗 オマケ話も、ご期待に添えるよう頑張りますね^^ (2017年8月17日 23時) (
レス) id: c9fd3073c9 (このIDを非表示/違反報告)
緑夏(プロフ) - あらとさん、完結おめでとうございます^ ^ ずっと読ませてもらっていたんですけど、完結したタイミングでのコメントになってしまい申し訳ないです…。 鈍感で少し天然な大倉くんすごく可愛くて癒されました♪ おまけ話も楽しみにしてます！ (2017年8月17日 21時) (レス) id: b28e673c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あらと∞ | 作成日時：2017年7月15日 22時
