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ありがとうと約束 ページ48

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「ただいまー」



ドアノブを捻れば、待っていたのは君の笑顔。



「おかえりー。
今日もお疲れ様♪
きっと今日も残って受験勉強しとったんやろ?」



大変やなぁ?と心配そうな顔で覗き込まれれば、慌てて首をブンブンと横に振る。



「いやいや!こんくらい普通やって!
…裕さん達は?」



「裕兄たちは今日も遅くなるって。
せやから、2人で先に食べちゃお?」



もうご飯出来てるからー、そう言ってパタパタと足音をたててキッチンへ向かう大倉の後に続いて、俺も早々に足を動かした。









「…亮ちゃん、ありがとね」



和やかな雰囲気の中2人で飯を食べ進めていくと、大倉がポツリと呟いた。



「…え?」



「…ボク、小さい頃は、自分のコト…めっちゃ不幸やって思ってた。
オカンも事故で死んでもうて、オトンもなんか…まともに話しもしてくれんようになってもうて」



大倉が箸を止めて、ポツリ、ポツリと言葉を紡ぐ。



「…けど、あの時、亮ちゃんが話しかけてくれたから……ボクは、幸せを感じることが出来てん」




「大倉…」




「せやから…せやからな?
亮ちゃんが引っ越してまうってなった時…ホンマに、ホンマに立ち直れなくなってまうって思ったんよ。





…けど、いつかきっと亮ちゃんはボクを攫いに来てくれる。
そう思って、生きることを諦めなかったら…兄ちゃん達がボクを迎えいれてくれて…ボクはまた、楽しい毎日を送ることができた。






兄ちゃん達と暮らすようになってからも…決して、あの約束を忘れたことは一度もなかったし、出来ることならもう一度でもええから亮ちゃんに会いたい。
そんなコト、あるわけないのにずっと毎日思っとった。






…そしたら、亮ちゃんは約束通りボクのことを攫いに来てくれた。
…もちろん、変な勘違いがあったからすぐには気づいてはくれんかったけど……それでも、ボクとの約束を覚えててくれただけでめっちゃ嬉しかった」



ホンマにありがとう。



そう言って目を細めて笑う君の顔は、あの時と全く変わらんくて。




「…はよ食おうや。
…せっかくの飯が…冷めてまうで」



ちゃうねんちゃうねん。



ホンマに言いたいんはそんなんやないねん。



お礼を言いたいのは俺の方なのに…。



言葉を発そうとしたらなんだか急に恥ずかしくなってそのまま飯をかっ食らう俺やったけど、

大倉は不思議そうに目を開いた後、再び笑顔を向け そやね、とだけ呟くと、黙って箸を動かし始めた。



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あらと∞(プロフ) - まーめいどひなひな。さん» わぁぁ、嬉しいコメントありがとうございます(*ノωノ) 続編は…ちょっとまだなかなか見通しがついていない状態なので書くかどうかは正直定まっておりませんが、なるべく皆様にお届け出来るよう前向きに検討していきたいと思います!曖昧な答えでごめんなさい!(汗) (2016年12月12日 20時) (レス) id: c9fd3073c9 (このIDを非表示/違反報告)
まーめいどひなひな。(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて大好きでした!!!もし暇だったり....したら、続編でも書いてくださるとこちらこそ泣いて喜びます(小声) 本当にこの話大好きです!!!! (2016年12月12日 19時) (レス) id: 4b061da41f (このIDを非表示/違反報告)
あらと∞(プロフ) - 緑夏さん» 緑夏さんありがとうございます! いえ、全然お気になさらないでください!緑夏さんからそんなお言葉を頂けるなんて…光栄でございます(T_T) 私も大倉君の可愛さは無限大だと思っております(笑) これからも応援して頂けたら嬉しいです!(*^^*) (2016年12月11日 21時) (レス) id: c9fd3073c9 (このIDを非表示/違反報告)
緑夏(プロフ) - あらとさん、完結おめでとうございます! 実はこれが初コメントです^^; いつもあらとさんにはコメント頂いているのに、私は今回が初めてって申し訳ないです…。今回の作品も大倉くんが可愛くて、終わるのが寂しくてコメントせずにはいられませんでした!(笑) (2016年12月11日 21時) (レス) id: b28e673c31 (このIDを非表示/違反報告)
あらと∞(プロフ) - いちさん» いちさん、2度もコメントありがとうございます! もうホント、そう言って頂けるのが一番嬉しいです(T ^ T) 続編書くかは…本当に気まぐれですので、そこまで期待せずに待って頂けたら(笑) 次回作も頑張りますねー(*^^*) (2016年12月11日 21時) (レス) id: c9fd3073c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あらと∞ | 作成日時:2016年11月3日 17時

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