高熱<章大> 5 ページ10
侯隆Side
頑張るとは言ったものの、そこからなかなか決心がつかないのか、涙目で微動だにしない章大。
固定していた手を離す。
章大はちゃんとやれる子やって知ってるから、俺らもじっと待つ。
すばるも自分の仕事があるはずやのに、待っててくれてる。
5分くらいたったころ、章大が自分で服の袖をまくった。
「章大、偉いなぁ。ちょっと動かんといてな」
腕をゴム管で縛ると、もう片方の手で俺の手を握ってきた。
「…きみにぃ〜、」
「ん、頑張ろうな」
「ちょっと手グーにできるか？」
章大が拳を結ぶと、すばるが血管を探す。
水分取れてへんて言うてたし、血管も細くなってて探しにくいはずやのに、すばるはすぐに見つける。
「ちょっとチクっとするでー」
「…っ、んーーー！！」
俺の手をギューっと握りながら、動かずに頑張る章大。
「よっしゃ。頑張った頑張った。終わるまで隣おったるからな。すばるもお疲れさん」
「おん。ほんなら俺、医局の方戻るわ」
「…すばにぃ」
「ん？」
「……ありがと」
「早よ元気なるんやで」
章大の頭をひと撫でして、すばるは処置室を出て行った。
「きみ兄……」
「ん？ちゃんとおるよ、大丈夫」
「ちゃうくて…、あの、昨日仕事夜やったから、眠いんちゃう？」
「そんなん気にせんでええの」
「…でも、」
「ほんなら、章大の点滴終わるまで俺も一緒に寝よかな」
ほんまに、この子は人のことばっかり気にする子なんやから…。
ベッドに伏せるようにしながら、章大の胸を叩くとすぐに寝息が聞こえた。
もちろん俺は寝ぇへんよ。
1時間経って、章大の点滴が終わった。
俺が抜いてもええんやけど、すばるが来てくれた。
「これで脱水なくなったやろうし、後は薬飲んだらすぐ熱下がるかな」
「そやろうな。すばる、忙しいのにありがとな」
「お互い様やろ。……おっしゃ抜けた。…あれ、章大起きてもうたか。もうお家帰れるからな」
すばるが針を抜くと、目が覚めた章大。
『お家帰れる』
その言葉に、嬉しそうな顔になった。
「よし、帰ろうか」
家に着くと、心配そうな顔をした亮と少し遅れて忠義が玄関まで駆け寄ってきた。
そのまま二人が作ってくれたお粥さんを食べて頑張って薬も飲んで、その日のうちに熱はなくなった。
end
ノロウイルス<亮> イエローレンジャー様→←高熱<章大> 4
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koma(プロフ) - とろりん子さん» とろりん子様のこと、知れば知るほど似たところがあり、全く関係ないとは思えません。本当にありがとうございました。すみません、他の方のリクエストが見えないので、お二人のコメントを別枠にうつし、ここから削除させていただきます。よろしくお願いします。 (2016年6月1日 16時) (
レス) id: c170da9f5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：koma | 作成日時：2016年4月9日 0時
