52話目 ページ14
狼視点
影剣の記憶の中にまだアイツらはいたらしい。
目が覚めてもアイツらの事を聞いてきた。
だから、今度こそ
「全てを忘れろ。
俺達以外は気にするな」
そう言って術をかけた。
これで、次に目が覚めても……
？「貴様、兄様に何をした？」
刀を突き付けながら月を目に宿したモノが
聞いてくる。
答える義理はない。ないが__
「答える義理はない__が、教えてやるよ。
なぁに。簡単な事さ。
影の記憶からお前達を消した。
覚えてるのは、前のヤツだけ。
次に目を覚ました時、影の目にあるのは
人間に対する嫌悪と憎悪と憤怒のみだ」
と笑いながら答えた。
それと同時に影が目を覚ます。
辺りを見渡して人間が視界に移ると
？「ｯ、主！」
己で人間に切りかかった。
その目に宿るのは嫌悪と憎悪のみ。
よかった。今度はきえた。
「影。こっちへこい」
上がる口角を押さえつけて影を呼ぶ。
すると、一瞬驚いた顔をしてから
嬉しそうに笑った影が近づいてきた。
そして、目の前までくると
かしずいて
影「久方ぶりです。親方様。
一体何年ぶりでございましょうか？
また、貴方様に会えて嬉しゅうございます」
と言ってきた。
歪みそうな口角を抑えて
「あぁ。そうだな。影」
と言いながら頭を撫でる。
確認のために
「なぁ、影。俺はな、百鬼夜行を続けるか 悩んでるんだ。影はどうしたい？」
と聞いた。
影の肩が震える。
俺達の百鬼夜行は人間との共存が
元々の目的だ。
これで、否定したら……
影「……僕は、親方様の御意志に従います。
ですが、もし許されるのならば……」
そこで、影は言葉を止めた。
代わりに俺をじっと見つめる。
影「僕は、反対です。
人間ほど愚かで醜いモノはない。
それに、僕はもう信じられない。
人間が謳う愛とか、友情とか……
それらが、どうしても建前にしか
聞こえないんです。
我らを利用するための、穢すための建前に。
それに、知ってしまったから、信じられない。
もう、僕は戻れないし、戻りたくない」
影は光を無くした目で俺を見ながら言った。
あぁ、嬉しい。うれしい。ウレシイ。
ーーーーー
次いきます！
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作者名：黒狼 | 作成日時：2017年12月28日 3時
