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13話目 ページ15

翡翠視点
目が覚めると、周りには誰もいなかった。
嗚呼。もしかして、ゆめ・・・だったの?
もし、そうだとすれば・・・

ハハッ

静かや部屋に、乾いた笑いが・・・

「バカみたい」

自虐的な声が、静かな部屋に響く。同時に

「いやだ。夢であって欲しくない。」

そんな、声も、響く。
涙が浮かぶ。
もし、あれが、あの審神者が、弟達が
夢であったら僕はなんて夢を、見たんだ。
人は・・・人の子は、もう信じないと決めたのに。他の皆を、守るために・・・決めたのに。

スっ

襖を開けて、誰かが入ってきた。
そちらを見ると"燭台切光忠" が居た。
そして、僕の方を見ると
目を大きく開かせて、クシャッと顔を歪ませてから、笑って

「目が覚めたんだね。良かった。コレ、お粥を持ってきたんだけど・・・食べれるかい?」

と聞いてきた。
嗚呼。嬉しい。夢じゃ・・・なかった。
だって、アソコの "光忠" はアイツに折られたから。僕が、守れなかった刀だから。
アソコの "光忠" は料理を作れなかったからな。作ったとしても・・・アイツの分だけだ。
だから・・・もし、仮に審神者と弟達が夢だっとしても、 "光忠" が僕に料理を持ってくることなんて出来るわけが、無いんだ。
でも・・・

スっ

自分でも、この瞳に陰がさすのが分かる。
きっと、僕は今酷い顔をしているんだろうな。
だから、 "燭台切光忠" の顔が、その笑が
段々と歪んでいっているんだろう。
これ以上、そんな顔は見たくない。
だから

「うん。ありがとう。」

と、笑みを浮かべ、答える。
嘘だ。食べられない。一度だけ、僕が重傷で帰還した時に "光忠" が作ってくれたお粥を食べた事がある。
それを見たアイツは

「道具の癖に飯なんか食ってんじゃねえ!」

と叫びながら、僕の目の前で
"光忠" を・・・折った。
それからは、食べ物や水なんかは口にすることは愚か、見るだけでも吐き気がする。
体が、拒絶するんだ。
だから、本当は・・・食べられない。
申し訳ないけど、食べたところで吐いてしまうと思う。
でも、もうこれ以上僕は "燭台切光忠" の顔を
歪ませたくはない。
だから、僕は

パクッ ゥッ ゴクッ ハァ ッ

「ヘヘッ。 すごくッ、美味しいねッ。」

吐き気を我慢して、食べるんだ。
我慢するんだ。
吐いてはいけない。
傷つけてはいけない。そう、考えながら。

ーーーーーーーーーーーー
ゴメンなさい!
更新が遅くなりました!

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作者名:黒狼 | 作成日時:2016年12月31日 15時

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