短編集

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side夏油









「…面白い友達だね」



「そんな同盟入ってたのか？」



「入ってないよ初耳だよ!!しかもクラスほぼ全員入ってたんだけど!?」



「そうだ傑！硝子！嘘つきやがったな!!確かに男女で仲良かったみてーだけどコイツ以外全員その同盟入ってたぞ!!」



「ああでも言わないと動かなかっただろ」







現に今そうして隣にいるのは誰のお陰だろうね？とにっこり笑う。


うぐぐって言い返せなくなった悟は渋々座り直すとチラッとAへ目を向けて頰を染め、



「……あんがと」



とすっごく小さな声でお礼を言った。


どうやら少し成長したようだ。







寮へはお互い顔を真っ赤にしながらもしっかり手を繋いで帰ってきた二人。


詳細を聞くと悟が追いついた時にはちょうど店に入る前だったらしく、慌てて腕を掴んだ悟に当然驚くAと周り。







『五条!?なんでここに…』



『キャー!!誰そのイケメン!?Aの知り合い!?』



『え!?あっいや、その』



『______めだ』



『…っ？な、何？なんか言っ…』



『______っだから！マジック駄目だっつってんの!!確かにまだ彼氏でもなんでもねーけど、…でも絶対俺の事好きにさせるから、お前はマジックかかんな』









元クラスメイト全員の前で突然始まったラブコメ。


ついて行かなかったのが悔やまれるぐらい面白い展開。



悟の不器用なりに一生懸命伝える様子と多分クラスメイト達はAの気持ちを知ってたか気付いたかで、今日はしっかりハッピーエンドまで行ってこいと、同窓会はまた是非悟も連れてなり染め聞かせなよと送り出されたそうだ。


帰り道、“マジック”の説明と素直な自分の気持ちを伝えてめでたく結ばれた二人だけど…








「ご、五条ちょっと離れて、近い…！」



「はぁ？何でだよ別にいいだろ、もう付き合ってんだから」



「！！…っ数時間前まで顔合わせる度喧嘩ばっかしてた相手と急にこんなの無理に決まってるでしょ馬鹿!!」



「馬鹿って何だコラ!!おい逃げんなんなもん慣れだろうが!!なら手っ取り早くやることやって…」



「最っ底!!」



「……だめだこりゃ」



「そうすぐに変わるもんでもないだろ」








一歩進んだだけでアイツらにとっては大前進なんだよ、と煙を吹かす硝子に「確かにね」と同意する。



付き合った途端吹っ切れたのか気持ちを全面に出す悟とその変化に戸惑いを隠せないAの攻防はまだまだ続くのだった。






＿fin＿
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