#44 ページ47
*
Aと別れてから
めまぐるしいほどに時間は過ぎ去っていった。
あれからAと話すことはなくなったし、
今もあの約束をAが覚えているかもわからない。
俺とAは、22歳になっていた。
Aが昔、ちくわとミルキーを拾った公園に
行くのは、久しぶりだった。
「お前はここで拾われたんだぞ。覚えてんのかこのクソ猫」
にゃあ。
無愛想に鳴く。
相変わらず俺に懐かない。
「あ、あの…。赤葦くん、ですか？」
懐かしい声が聞こえた瞬間、
涙が溢れそうになって我慢した。
振り返れば、見覚えのある顔の女の子がいる。
「久しぶり、A」
「うん…、久しぶり」
変わらないね。
でも、綺麗になったね。
言いたいことは山ほどあったけど
やっぱり一番最初に言いたいのは
5年間、蓋をし続けた想いだった。
「5年間、お待たせしました」
Aが泣きそうに笑った。
変わらない笑顔に胸が弾む。
「ばか…。ずっと待ってたよ」
「うん、ごめんね」
「私ね。あの後すぐに、約束守ったの」
「Aは良い子だね」
「子供扱いしないでよ。私達もう22歳だよ？」
「ははっ。そうだね」
Aは俺に抱きついて胸に顔を埋めた。
緊張が伝わりそうでちょっと困るな。
「俺、全部捨ててきたよ。Aと一からやり直せるように」
高校生の頃の
淡く儚い恋の物語。
幼い俺達は
別れることでしか終わりにできなかった。
「迎えに行くのが遅くなってごめん」
この5年間。
クソみたいな自分に区切りをつけた。
やり直すのには、時間が必要だと思った。
ねぇ、A。
今の俺は
君を抱きしめる資格はあるかな。
この5年間で、飽きられてないかな。
「愛してるよ…。
だからもう一度、俺にチャンスを下さい…っ」
いつの間にか、俺もAも泣いていた。
高校生に戻ったみたいだね、とAは笑う。
「私もずっと赤葦くんが好きでした」
その言葉に泣き崩れた俺を
Aは笑っていたね。
待っててくれて、ありがとう。
って俺が言ったら
「次はプロポーズを待ってますね」
なんて。
これ以上、泣かせんなよ馬鹿。
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ナツ - Chloe＊*(くろえ)さん» あー、よく言われます…。名字綺麗だね、見た目もそんな感じだね、でも性格はあってないね！…って言われます。泣きそう。 次回作も楽しみにしてます、では!! (2015年4月8日 18時) (
レス) id: 6fee1e567e (このIDを非表示/違反報告)
Chloe＊*(くろえ)(プロフ) - ナツさん» 夏樹さんですか！珍しいというより綺麗ですね！私は響きが綺麗で小説のイメージに合うような名字にしているので、本物の夏樹さんに出会えるとは笑。閲覧ありがとうございました^ ^ 次回作は 皆様と名字が被らないように気をつけます！笑 (2015年4月7日 18時) (レス) id: cd00655754 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - 実は私の名字、夏樹だったりします（笑） くろえさんの話を読むのは2回目だけどどちらも綺麗な話でした。 (2015年4月7日 15時) (レス) id: 6fee1e567e (このIDを非表示/違反報告)
Chloe＊*(くろえ)(プロフ) - さかなくん2号さん» ありがとうございます！さかなくんさんにはいつも小説に目を通して頂いて、コメントまで…。本当に感謝しかありません！次回作は夜久さんです！短編でしか書いたことがないんですけどねw頑張ります！ロリ×夜久さんですが、嫌じゃなければ見て下さい^ ^ (2015年4月5日 23時) (レス) id: cd00655754 (このIDを非表示/違反報告)
Chloe＊*(くろえ)(プロフ) - 藤ちゃん。さん» ドロドロ展開が苦手なのにも関わらず、最後まで目を通して頂けたなんて嬉しいです！本当にありがとうございました！泣 次回作のストックたくさん溜めます！笑 これからもよろしくお願いします。 (2015年4月5日 23時) (レス) id: cd00655754 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろえ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/laruku/
作成日時：2015年3月15日 19時
