赤葦京治は考えない。

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次の日。


梟谷学園バレー部は、日曜の朝から部活。


体育館へ行くと、まだ俺以外来ていないようだった。

そりゃそうだ。

まだ7時30分で、練習開始は8時30分から。




珍しく早く起きることになってしまった俺は、

いつもより早めに部活に来て

サーブ練習を始めた。





肩慣らしにサーブを2、3本打つと

ガラガラッと音を立てて体育館の扉が開いた。






「おぉっ！もうネットが準備されてる！」


「……おはようございます、木兎さん」





木兎さんが騒ぎ立てながら入ってくる。

朝のテンションとは思えない。





「赤葦がこんなに早いなんて珍しいな！」



木兎さんがそう言うのも無理はなくて、

俺はいつも練習開始の15分前くらいに顔を出すようにしていた。



木兎さんが毎回俺より前に体育館に入って練習をしていたのは知っていたけど

こんな早くに来ていたなんて驚いた。


どんだけバレー好きなんだよ、この人。







「早く起きちゃったんですよ。無理矢理叩き起こされたんです」


「誰にだ？お前、一人暮らしだろ？」


「飼い始めた猫です」




早朝の5時半すぎ。

いつも通りベッドで寝ていたら、

ちくわに顔を思い切り引っ掻かれて起床。



仕方なく起きると、ちくわは平然とした顔で

俺のベッドを占領して二度寝を始めやがった。





「あぁ。この前話してた、Aちゃんが拾った猫か」





木兎さんは呑気に、

“猫可愛いよな”なんて言いながらボールを手に取った。









「猫の名前、なんつーの？」


「…ちくわ。Aがつけました」


「何それかっけぇな。さすがAちゃん」




俺はAと木兎さんのネーミングセンスの度合いが謎だよ。









「つーか、赤葦…」




そう言いかけた木兎さんは、

いつもよりも真剣な声と表情に変わった。












「…まだAちゃんと付き合ってたんだな」

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