#10 ページ12
．
土曜日。
Aと一通り買い物を終え、
街中の小さなカフェに入った。
俺はアイスティーを、
Aはミルクティーを注文した。
「ちくわは元気？」
上着を脱いで椅子に腰掛けたAが、何気なく質問を投げかける。
「元気、超元気。…だけど全然俺に懐かないし、生意気だよ」
Aから一匹の猫を引き取ってから、3日が経った。
最低限必要な道具は今日の買い物で買い揃えて
慣れないながらも、ちくわの世話をしている。
でも懐かない。
「すごい引っ掻くんだよ。まるで俺を不法侵入者だとでも思ってるんじゃないかってぐらい」
「あはっ、楽しそう！」
「全然楽しくない」
飼っていくうちに慣れるだろうと思ってはいたけれど、先は長そうだ。
「それにさ。“ちくわ”って呼ぶと怒るんだよ」
「なんでだろう？」
なんでだろうじゃないだろ。
あんな可哀想な名前を付けられて喜べるか。
Aは能天気に笑った。
「きっとすぐに仲良くなれるよ。それに…もしかしたら、あの子達捨て猫だったから、人間を警戒してるのかもね」
「……どこで拾ったの？」
「近所の公園。桜の木の下にダンボールが不自然に置かれてたの」
「そうなんだ」
もしも俺がAだったら、絶対に拾わない。
動物は好きだし、
捨てられていたら可哀想だと思う。
同情もするだろう。
でもそんな簡単に命を引き取れない。
その上、本人はアレルギー持ちなんて。
「…Aは優しいね」
そう呟いた瞬間、
注文したアイスティーとミルクティーが運ばれて来た。
一瞬、Aと俺の会話が途切れる。
Aは黙り込んだまま俺を見つめると
店員がテーブルを離れてすぐに口を開いた。
「違うよ。優しいのは私じゃなくて赤葦くんの方だから…」
運ばれて来たAのミルクティーが入ったグラスの氷が、
カランッと心に突き刺さるような冷たい音を立てた。
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ナツ - Chloe＊*(くろえ)さん» あー、よく言われます…。名字綺麗だね、見た目もそんな感じだね、でも性格はあってないね！…って言われます。泣きそう。 次回作も楽しみにしてます、では!! (2015年4月8日 18時) (
レス) id: 6fee1e567e (このIDを非表示/違反報告)
Chloe＊*(くろえ)(プロフ) - ナツさん» 夏樹さんですか！珍しいというより綺麗ですね！私は響きが綺麗で小説のイメージに合うような名字にしているので、本物の夏樹さんに出会えるとは笑。閲覧ありがとうございました^ ^ 次回作は 皆様と名字が被らないように気をつけます！笑 (2015年4月7日 18時) (レス) id: cd00655754 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - 実は私の名字、夏樹だったりします（笑） くろえさんの話を読むのは2回目だけどどちらも綺麗な話でした。 (2015年4月7日 15時) (レス) id: 6fee1e567e (このIDを非表示/違反報告)
Chloe＊*(くろえ)(プロフ) - さかなくん2号さん» ありがとうございます！さかなくんさんにはいつも小説に目を通して頂いて、コメントまで…。本当に感謝しかありません！次回作は夜久さんです！短編でしか書いたことがないんですけどねw頑張ります！ロリ×夜久さんですが、嫌じゃなければ見て下さい^ ^ (2015年4月5日 23時) (レス) id: cd00655754 (このIDを非表示/違反報告)
Chloe＊*(くろえ)(プロフ) - 藤ちゃん。さん» ドロドロ展開が苦手なのにも関わらず、最後まで目を通して頂けたなんて嬉しいです！本当にありがとうございました！泣 次回作のストックたくさん溜めます！笑 これからもよろしくお願いします。 (2015年4月5日 23時) (レス) id: cd00655754 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろえ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/laruku/
作成日時：2015年3月15日 19時
