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「な、なんだ……」


ホッとして、へなへなとその場に座り込む加州。


「もう!あるじさん!」


乱が呆れと安心の混じった声をかける。


「本当に、人騒がせなやつだな」


宗三が鼻で笑いながらも、どこかホッとした顔で言った。


「何にしろ、皆が無事でよかった」


三日月が日向の頭を撫でながら言った。


浦島も、いつの間にか蜂須賀と長曽根に抱きしめられていた。


「すまないな、主。

俺が不甲斐ないばかりに」


同田貫がそれを見ながらAに言った。


「いや、同田貫はよく二人を守ってくれていた。

謝るのは私の方だ。

もう少し早く行けていれば……」


「主、誰一人として欠けていないんだ。

それは、誰でもない主のおかげだ」


「そうか……」


まだ、激しく波打つ胸を押さえながら、一度深く深呼吸をした。


「助けられてよかった」


「感謝してる」


同田貫がAに手を差し出す。


Aも、その手を取り、同田貫に引っ張られて立ち上がる。


「大丈夫か?」


「ああ、だいぶ落ち着いた」


「少しは体力をつけろ」


「毎日、鬼ごっこや缶蹴りやかくれんぼをしているんだがな」


「あるじさん、逃げるのうまいからそんなに走ってないじゃん」


「そうか?」


乱に手を掴まれ、ゆらゆらと揺らされる。


「そうだよ!あ、たまには手合わせしてみる?」


「考えておくよ」


楽しげに乱が話すもので、Aもつられて微笑んだ。


「みんなー!!夕食にするよー」


本丸の方から光忠が叫ぶ。


どうやら帰還して、皆が無事なのを確認してから、すぐに準備にいっていたらしい。


「わかった」


「お腹すいたー」


「ねぇ、今日のごはんなにー?」


「今日はボクがあるじさんの隣に座るー!!」


ご飯につられて、続々と本丸の中に入っていく男士たち。


「Aは行かないのか?」


その場でたったままのAに、三日月が振り返り聞いた。


「ああ、今行く」


「だが、お主は食事の前に着替えをせねばだな」


何時ぞやのように、前が袈裟型にバックリと切られた服を指差して言った。


「そうだな」


Aも、ゆっくりと本丸へ歩き出した。

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ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 面影草さん» ご指摘ありがとうございます!!修正しました!今後ともよろしくお願いします! (2019年4月3日 0時) (レス) id: 71334657d1 (このIDを非表示/違反報告)
面影草(プロフ) - 政府の役人の黒い部分が見えたり、主人公が感情を覚えてきたことでどんどん面白くなっていて引き込まれるものがあります。誤字だと思うのですが、66話の手元の紙が髪になってます。69話の我々が〜の部分が我々た〜になってますよ。これからも更新楽しみにしてます(^-^) (2019年3月29日 21時) (レス) id: 50c6120963 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 寧々さん» ありがとうございます(^^) (2019年2月23日 17時) (レス) id: 71334657d1 (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。続編頑張ってください。 (2019年2月23日 17時) (レス) id: 3564a3a532 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あき | 作者ホームページ:    
作成日時:2019年2月23日 17時

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