■3月1日【不条理な痛み】 ページ3
AM7:00。9時までに出勤するお姉ちゃんと8時半までに登校しないといけない私、2人分の朝ご飯とお弁当を作る。
トントンと小さく切ったきゅうりをウインナーを爪楊枝に刺し、お弁当へと入れる。
余ったきゅうりは軽く塩揉みして、お皿に盛りつける。
これで、朝ご飯とお弁当は完成。
すると7:30に設定されたアラームが鳴ったのか、お姉ちゃんがゆっくりと歩いてきた。
お姉ちゃんは、まだ眠たそうにしていた。
昨日確か、久しぶりにミコトさん達と飲みに行ってて帰ってくるのが遅かったっけ…
「おはよ…」
「…おはよう、お姉ちゃん。
朝ご飯作ったから…食べよう…?」
「ありがとう小春〜…本当私いい妹を持った…」
お姉ちゃんはそう言って私を抱きしめる。
お姉ちゃん…夕子さんは、私の本当の姉ではない。
昔孤児の私を、遠い親戚の夕子さんの家が引き取ってくれた。
夕子さんは私のことを本当の妹のように可愛がってくれて、勿論私も夕子さんをお姉ちゃんとして慕っている。
「もうすぐ小春も高校卒業かぁ。早いなぁ〜…」
「…大学、推薦貰って学費全額免除できるみたいだから、
これからは…お母さん達に、苦労させないで済むかも……」
「法医解剖医と臨床検査技師、
小春がどっちになるのか楽しみだね〜」
「…うん。ほら、食べよう?」
2人で向かい合って、いただきます、と手を合わせる。
そして、他の命を食べて今日を生きていく。
こうして始まる、私の何気ない日常。
「小春、また痣出来てる。」
「…ん?あぁ、出来てるね。」
お姉ちゃんが言っているのは、左の鎖骨にあるまだ赤黒い打撲痕。
多分、昨日甲斐くんのグループに殴られた時のものだ。
「小春、本当にいじめられてないんだよね?」
「…うん。」
「……そっか。何かあったら早めに言いなよ?
アンタ誤解されやすいから、私心配なの…」
「…ありがとう、お姉ちゃん
私もう行かなきゃ。洗い物お願いね。」
自分の食器を流しに置いて、洗面所へと向かう。
鏡に映された自分を見る。
三つ編みにまとめられた真っ黒な髪。
僅かにしか光がない真っ黒な右目。
ところどころ、赤黒く腫れている、傷。
「…歯、磨かないと」
見た目は痛々しいが全く痛くない体を動かし、学校へ行く仕上げを済ませた。
「お姉ちゃん、行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
そう言って家を出た。
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__これから10日間の授業が始まるなんて、まだ私は知らなかった。
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蒼炎 - アンナチュラルも3年A組も好きなドラマだったので、続きが気になります!更新待ってます! (2020年1月12日 22時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 続き気になります!更新待ってます! (2019年12月3日 4時) (レス) id: 7c69be82b3 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいてます!更新、待ってます!! (2019年5月5日 16時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
中原三日月(プロフ) - 主人公が私の好みです!更新頑張ってください! (2019年4月24日 20時) (レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
かれーこ - このお話好きです!更新頑張ってください! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 6209d012cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無音 | 作成日時:2019年3月24日 6時