【3年A組】不自然な彼女

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「東海林小春…」


郡司さんが澪奈ちゃんから、小春ちゃんの写真に変えて見つめる。


「成績優秀で才色兼備。学校では『春風の君』なんて呼ばれるぐらい人気でした…。

景山澪奈とはよく一緒にいるのを何度も見たことがあり、仲はとても良かったと思います。

きっとあの日も彼女に会いに行こうとした矢先、目の前で景山澪奈が地面に打ちつけられるのを…」


あの時、澪奈ちゃんの血を浴びた小春ちゃんの顔が忘れられない。

光がない瞳には、まるで生きる意味を奪われてどうすればいいか分からないと言いたげで、
感情が消えた表情で、大粒の涙をぼろぼろと落として泣いていた。


「確かこの二人って、ある動画が流されて大炎上したんですよねぇ…
マイボイでもトレンド入りしてましたよ。」

「まぁ景山澪奈のドーピング疑惑の動画であまり目立ってはいないし、すぐに嘘…フェイク動画だって分かったんで丸く収まったんですけどね？」

「はい…大学側もフェイク動画だと納得して頂けました。ですが、クラス内で孤立してしまって…」

「今朝見たとき…小春、また痣が出来てた…
もしかしたら、クラスの誰かに殴られたかもしれない…」


動画や暴力のことなんて、小春ちゃんからは一切聞いていない。

私や久部くん…東海林でさえ、ほんの少ししか知らない。





「あの…澪奈ちゃんと小春ちゃんの動画って、
それぞれ観せてもらうことってできますか…？」


小春ちゃんは、まだ私達に言っていないことがある。


(ミコト視点 終了)

＊* ＊* ＊*

(小春視点)



「でもアイツ…景山はドーピングしてたんだろ？ネットで話題になってた。」

「あった」


甲斐くんの言葉に、皆が次々と言葉を上げていく。


「うん…マイボイでも『景山 ドーピング』ってトレンド1位になってたし…それに、東海林も動画上がってたし…」

「あの子達、ホントにやってたの？」

「やってたから何も言わないし、自 殺したんでしょ？」


私だって、何も言わなかった訳じゃない。

宇佐美……ううん、香帆にも『私はともかく、澪奈の言葉を信じて』って、言った。隼人や唯月にも。


……けど、



.




____…そんなの、信用できるわけないじゃん


____うるせぇ。お前の意見は聞きたくない。


____アンタの言葉を素直に聞くと思う?この…


.



「……『サイコパスの愛人』、かぁ」

「本当、酷い言われようだな。根も葉もないことだったのに。」

「えぇ、本当に。」

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