【3年A組】エメラルドはローズクォーツに魅せられる【番外編】

真冬の取り合い合戦(甲斐×翠川×須永) ページ9

綾音さんリク
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東京でも雪が降るところがあるほど寒すぎるこの季節。シャツの上にカーディガン、足にはタイツの完全装備。完璧。


『寒い寒い寒い寒い寒い！！』


完璧、というわけではなかった。

いやいや馬鹿みたいに寒すぎ。北陸地方ってこれ以上に寒いの？凍って死んでしまうわ。同じ日本だとは思えない。


「おっ翠川！おいーっす！」


寒さで丸くなった背中を思いっきり叩かれ、否が応でも背筋が伸びる。痛い。背中痛い。寒さのせいで余計痛い気がする。おまけに寒い。もうやだ泣きそう。


『石倉くん、痛いぃ…』

石倉「って何で泣きそうなんだよ!?ごめん、悪かった…」

須永「いーしーくーら、何A泣かせてる訳？」

石倉「ってああああああ！」


数秒後、石倉くんが賢くんに技をかけられて断末魔をあげた。一応公共の路上ってこと分かってるのかな。


須永「Aおはよ。ごめんな石倉が。」

『おはよう賢くん。石倉くん放してあげたら？』

須永「石倉覚悟してろよー？」

『話聞いてる？あ、甲斐くん。甲斐くんもおはよう。』

甲斐「おー」


もう一人の男子に気がついて挨拶をすれば、それに返してくれた。すると甲斐くんはじっと私を見つめてくる。


『どうしたの？』

甲斐「いや、何でもねぇよ」


そう言う割には鞄の中を漁ってるので何でもない訳がないと思うんだが、そんなことを思っていたら袋からあるものを取り出し、私に渡してきた。


『…ジャージ？』

甲斐「寒みーんだろ？それ着とけ。多少マシだろ」

『ありがとう。寒かったから嬉しい』

甲斐「…おう」


甲斐くんから借りたジャージを着て、チャックを上げる。
すごい…ジャージ1枚着るだけでも全然違う…


須永「……A、こっち向いて」

『賢くん？どうし…わぶっ』


賢くんに口を塞ぐかのように何か温かいものが巻かれる。
これは…さっきまで須永くんが着けてたマフラーなのでは…？


『ぶはっ…賢くん？どうしたのそんな急に…』

須永「甲斐のジャージだけじゃ寒いだろ。これ貸すから付けといて」

『ありがと…？』


そう言われるとマフラー返しづらくなるな。今日は大人しく借りておこう。

マフラーとジャージのお陰で、憂鬱な寒空も少しは楽に行けそうな気がする。



.




甲斐「……お前何見せつけてんだよ。」

須永「何のことだよ。つーかお前だってジャージ貸してただろ見てたぞ」

石倉( こいつら面倒くせぇ…！ )

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