~第1章~いつか暦をめくるとき【1】 ページ1
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「暦!軽音部入って!」
「嫌。」
「そこを何とか!お願いします!!」
「しつこい!近い!!離れて!!」
近づいて来たライムグリーンの髪色をした頭を押し退ける。
手から見上げて私を見る幼なじみの顔は、今日も困ったような笑顔だった。
軽音部に所属する幼なじみの秋山隼人。入部理由『モテたい』。
そんな軽音部は現在部員募集中で、現在私は所謂スカウトされている。
「私部活入ってるんだけど?」
「いや帰宅部だろ!?ヒマなら軽音部入ってよ〜」
「モテたいから部に入った奴の幼なじみだと思われたくない。」
「うっ、痛いとこつきやがって!流石の俺も怒るぞ!?」
涙目になりながら頰を膨らませる隼人。控えめに言ってまったく怖くない。
そんな子供っぽい隼人も可愛いんだけどね。
……なんて言ったらまた怒っちゃうだろうな。
「ハヤト、昼休み終わりますよ。」
「次は、化学だよ……」
「あああ忘れてた!ごめんジュン!ナツキ!
じゃあ暦!放課後また来るから!」
「いや、来なくていいから。」
小さい黒髪の男子とで色素の薄い男子に呼ばれた隼人。
軽音部のチームメイト?どっちも真面目そうなお坊ちゃんだけど。
隼人が行っちゃって、話し相手がいなくなった。
教室には沢山の声が混ざった雑音が響く。
うるさく聴こえるがそれは高校生らしい。間違いなく青春を謳歌しているのだ。
隼人だってまさしくそうで。
けれど、私は違う。
私は、
「ヒマだなぁ……」
今日も、心の何処かぽっかり空いたまま、青春とやらを探している。
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