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sk「…布巾もらってくるね」

そう言ってそそくさと消えた佐久間は、戻ってくる頃にはもう何事もなかったかのような顔をしていた。

sk「ごめんね、びっくりさせちゃったね」
「いや、悪いのは私だし」
sk「まあそうなんだけど、でもやっぱ、嫌なとこ見せちゃったなぁって思って」
「にしたって、何で佐久間が謝んのよ」
sk「いやだってさ、俺Aには笑っててほしいから」
「え?」

全く、今日は思わぬことを言われてばかりだ。


sk「高校の時だってそうだよ。
Aは俺とは違って頭良いし、何でもそつなく出来て、友達もいっぱいいてさ。
浮いてた俺のことなんてそりゃ無視するよなぁって、でも、それでもAが幸せならいっか、とか思って…」
「えっと…え?」

sk「そうやって頑張って頑張って無理やり納得したのにさ、今更謝るとか酷いってー!」
「そんな…!」

ハイスピードで紡がれる言葉に頭がついていかない。


sk「…でも、AもAで苦しかったんだよね、きっと。だからもういいや」
「佐久間…?」
sk「ほらーまた、そんな顔しないの!さっき俺が言ったこと、もう忘れちゃったの?」

終いには私の頬を摘んで無理やり笑顔にさせる始末。
きっとそれは、本心半分、精一杯の強がり半分、そして、私の逃げ道を塞ぐ意地悪がほんの少し。

それでも、彼のペースに振り回される感覚が何だか懐かしくて、つい本当に笑ってしまったのだから、やっぱり敵わない。


(また言いたいことだけ言って…)

実際、心から彼に許される時が本当に来るのかはわからない。
けれど、佐久間がこうすると決めたなら、私にはもう何も言うことは出来ないのだ。
心の中だけで、一生彼の痛みと罪悪感と向き合っていくしかないのだ。

sk「ねぇ、ちょっと聞いてるー?」

私はあっけに取られたまま、ひたすらに彼に相槌を打っていた。
彼の通る声の隙間で、グラスに残った氷が溶けてカランと鳴った音が、妙に耳に残った。


【sk×コーラ×幼馴染_fin.】

こだわりの一杯 iw→←.



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作者名:わかめ | 作成日時:2021年3月11日 20時

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