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矛先がなるべく自分に向かないようにと念じながら、とにかく必死で部長に注いで、飲ませて、時間が過ぎるのを待つ。
しかし、部長もなかなか手強く言葉を返してくる。
酔った頭では、次第に彼に飲ませる口実も思い浮かばなくなってきた。
だから、とりあえず緊急回避とばかりにお手洗いに立とうとした私。
しかし、あの部長がそれを見逃してくれるはずはなかった。
『何だ、俺の酒が飲めないってのか』
さっきまで饒舌だった態度が一変し、急にギロリと厳しい目が向けられる。
「…いえ、そんなことは」
仕方なく座り直して残りのビールを片付けようとするけれど…あ、もう、ダメかも。
その時だった。
今まで我関せずと言った体で遠巻きに見ていた目黒が、つかつかとこちらに歩いてきた。
そして、さも当たり前のように、みんなに避けられていた私の隣に座ったのだ。
mg「部長〜、Aばっかりずるいっすよ〜。俺とも飲みましょ」
部下が自らこんな事を言うのは珍しいらしく(アルハラ野郎なのだからそれも当然だが)、目黒のおかげで部長の機嫌は途端に直った。
『おお目黒、お前最近調子いいらしいな』
mg「部長のおかげっす」
『そうかそうか、ほら飲め飲め』
mg「うっす」
すると、目黒はナチュラルに私の手からジョッキを取り上げて飲み干した。
そして、私の肩をポンポンとふたつ叩いてこう言ったのだ。
mg「ほら、新しいの頼んできて」
「え?あ、うん」
追い立てられるように席を立つ。
最後に目があった目黒の顔は、今までになくカッコよく見えた。
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作者名:わかめ | 作成日時:2021年3月11日 20時