Wolf Ⅱ (ページ5)

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信じる心ページ5

＊

「ここはっ...？」

『俺の仕事場兼、家』

ドアを抜けると少し広い部屋に出た。
そこには無数のパソコンの画面とその光。
画面にはたくさんの文字が書かれていた。

異次元のような空間に唖然としていると、
北人さんは尚も私の手を引きながらその部屋の中へ進んでいった。

・

確か北人さんは彼のお掃除屋って言ってたはず...。

『“俺は、壱馬が殺す相手の情報収集と死体処理、いわばお掃除屋なんだ…。”』

以前聞いた北人さんの言葉が脳裏に浮かんだ。

私は北人さんの横顔に視線を向けた。

・

でもそんな北人さんは私に目もくれず、大きな画面がドカンと置いてある部屋の奥の方へ進む

その画面が近づくと同時に手が離され、目の前の回転椅子に勢いよく座った。

そして慣れたように椅子を回転させると、
大きな画面に似つかない小さいキーボードに手を置いた。

なり始めた早いタップ音に、私はその場に佇んだ。

・

『ねぇ...？』

不意に音が鳴り止むと、椅子を回転させてこちらを向いた北人さん。

薄暗い部屋に画面の逆光で上手く顔の表情が見えない。

怒った顔をしているのか、困った顔をしているのか、
読み取れない北人さんの感情に複雑な気持ちになった。

・

『あんたは壱馬が生きてるって信じたい...？』

「えっ...」

ますます心が複雑に絡み合って混乱する。

北人さんの言動が私の体中に鼓動を響かせた。

『それとも、死んだって諦める...？』

上手く返事を返せない私に北人さんは言葉を続けた。
耳には入るけど、上手く頭に通り抜けていかない北人さんの言葉。

“何を言ってるの...？”
突然の投げかけ、そして予想だにしていなかった内容に頭が追いつかない。
何を言われているのか分からなかった。

・