Wolf Ⅱ (ページ35)

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あなたと彼ページ35

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「＿＿＿＿＿っ、いやっ...！！！」

意識が戻った瞬間、口から出た声の勢いとともにそのまま起き上がる上半身
私の大きな声が短く部屋に響いて、それが自分でも感じられた。

「あれっ...私...」

夢と現実の狭間が分からない。
そのせいで記憶がうまく頭に入って来ず、額に手をやりながら瞬きを数回。

「あっ...」

少しずつ、数秒...
そして数分経つにつれてどんどんと記憶が戻ってきた。

「さっきの...夢...？」

“嫌な夢を見た”

なんでこんなに見なきゃいけないのか。
あの人が離れていってしまう夢。でもここには元々いない。

混乱する頭をどうにか落ち着かせようと、深く息を吐いた私。
目線は自然と下へ向いた。

「えっ...」

目線を下げた...。
その瞬間見えたのは着覚えのない黒いタンクトップ。

そして起き上がった時にずり落ちてしまったのだろう、お腹の辺にある毛布。

自分の最後の格好が下着姿だったことは流れ込む記憶で思い出した。
でも、どういう経緯を辿って、こうなったか...
余計に分からなくなって、目の視点が左右を行き来した。

『...ん』

そんな時、足元の方の毛布がモゾモゾっと動いて音をならしたとともに短い声が聞こえた。
こんなにも近くにいたのに気づかなかった...。

「まこっ...」

『ぁれ...、A？起きた...？』

殺し屋とは皆気配を消すのが上手いのだろうか。
不気味な程に人気というものを感じなかった...。

私を驚かせた当の本人は、私の態度とは正反対で少し眠そうに目をこすった。
そして私の足のあたりの毛布から顔を上げるとそのトロンとした、少し熱っぽい目がこちらに向けられた。

じっと慎に見つめられ、とうとう耐えきれなくなった私は
そのまま慎の顔の下の方へと視線を落とす。
落としたまでは良かった。

でも...

「...慎？」

『ぅん？』

「なんで上裸...？」

視線を向けた上半身には衣類を何もつけてなかった。

こんなか細い体にどうやってつけたのだろうと気になるような、
いつもは見えない体つきが嫌でも目に入った

私はそれをも見ていられなくなり、かかっていた毛布を目線上まであげる。
でもそんな私を見た慎は不思議がらず、そして思い出したかのように口を開いた。

『あぁっ...！俺の服、Aが着てるよ』

「へっ...？」

彼の言葉に、私は瞬発的に自分の来ている黒いタンクトップを見た。

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