Wolf Ⅱ (ページ28)

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「っ...」

こちらを数秒見つめた彼は、再び闇の奥へと顔を戻そうとする。

私から視線が離れた瞬間、私の体は一気に震え、
そして無意識な行動によって、自由が聞かなかった。

「＿＿＿＿＿＿＿かないで...」

息をつかせる間もなく、彼は再び歩き出していた。
私の瞳に映る彼の背中。
それだけは一緒だった。なぜか...。

私は涙を流す。
そして何も考えない。
何も考えられないからこそ、出た声...。

「行かないでっ...」

決して大きいというわけでも、小さいという訳でもない声。
嗚咽混じりのその声は、少しずつ夜の空へと消えていく。

でも、そんな声に彼は足を止めた
そしてその場に立ち止まり、そのまま。

「おねがっ...、だめっ...」

私の口からは尚も言葉が漏れ続ける。
その声が道に響く度に、なぜか彼は肩を揺らした。

＿＿＿＿＿＿＿

どのくらい時がたっただろう。何秒...？何分...？
私は俯いて泣いていた。
涙はその量を減らすことなく、沢山流れてくる。
視界がぼやけて、彼の姿など見えなかった...。

ｼﾞｬﾘｯ＿＿＿＿＿＿＿

でもそんな私の耳に、突然と砂をふむような音が入った。
それは少しずつ近づいてくる。
顔を上げるが良くない視界のせいで、黒い何かが近づいてくるとしか読み取れない。
それほどボヤけていた。

そして、ふとその音も私の目の前に来ると止む。
涙を拭けばいいものの、それが何故かできず、何かわからない黒いものを見ながら涙を流し続けた。

その瞬間、

「っ...！！！！」

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