Wolf Ⅱ (ページ25)

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何かの線がプツリと切れたかのように涙が流れ出る。

自分でも何に対する涙なのかあまり分からなかった。
でも心の奥底にあるのは、自分の惨めさに呆れる気持ち。

自分の弱さに気付かされた...。
そんな気持ちだと思う。

「私にはっ...うっ...。あの人にはっ...！
北人さんが必要なんですっ！いなくなっちゃダメ」

私の口からは抑えられない声が漏れ、涙は北人さんのシャツを濡らした...。

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『ｽｩ＿＿＿＿』

北人さんの寝息が静かな部屋に響いた。

2人で泣いていると、急に体にかかった体重。

様子を見てみれば、泣き疲れと今までのものがふり積もったのか北人さんはスヤスヤと眠っていた。

もちろん男の北人さんは私が運ぶにはとても重くて、
私はゆっくりその場に寝かせると、私の部屋から布団とか枕とかを持ってきた。
そしてなるべく北人さんが寝ながら痛くならないようにした。

北人さんの顔を見るとはっきり残る涙の跡
私はゆっくりとその跡をなぞった。
なぞり終わると何故か震える指先。

私はその場を立ち上がった...。

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こんなの無謀だって分かってる...
馬鹿げてるってわかってる

でも北人さんにはこれ以上頑張って欲しくない。
迷惑ばかりかけられない。

何よりも自分を変えたかった...。
自分で変わりたかった。

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私はそのまま明かりの着いたリビング出ると、冷たい廊下を歩いた。
なるべく音を立てないように...。

玄関につくと、靴下を履いていないせいか靴のひんやりとした感触がダイレクトに伝わってきた。
そんなことを気にしてる場合ではない。

私は靴を履き終えると、玄関のドアノブに手をかける。

躊躇いが私の中を巡ったが、辞めるつもりは無い

北人さんのいるリビングの方を振り返ろうとしたが、それをしなかった。

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私はそのまま玄関の戸を開け、暗い夜の街へと足を乗り出した。

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部屋に響いたのは、大きなドアの閉まる音だけ。

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