Wolf Ⅱ (ページ3)

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あなたと“彼”の記憶ページ3

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ガチャ＿＿＿＿＿＿＿＿

その音とともに部屋のドアが開く。
私は背後にあるドアへは振り向かず、なおもベッドに座りながら外を眺め続けた。

『ねぇ、食べないの？』

「...」

視界を遮るかのように私の目の前に立った彼。
北人さんはお盆を持ちながら声を発した。
私はただ首を横に降り、そのまま下を向いた。

・

『もう何日も食べてないじゃん。さすがに死ぬよ？』

俯いた私の首の動きに合わせるようにしゃがんだ北人さんは少し語尾を強くした。

・

・

“死ぬ”
死んでもいいのかもしれない。

彼のいない世界なんて生きてる意味はない。
彼のいない世界なんて考えられない。

あいつが私の前からいなくなった時、生きる意味は彼だった。

そんな彼を私は殺した。
私なんて生きてる意味はない。

“死にたい...？”

ふと蘇る彼の声。
それを放つのは沈んだ瞳。
奥底には一瞬で消えてしまう黒い物陰。

・

「死に、たい...。」

脳裏は彼でいっぱいだった。
他の人は意味がわからないとか、理解できないとか思うかもしれない。

でもこんな短い期間でも...

実の父親を殺したっていう事実があっても...。

・

涙が一筋頬を濡らすと、次々とシーツにはシミができた。

『っ...！！』

その瞬間、食器の落ちる大きな音と同時に肩を思いっきり掴まれる。

がっしり掴むその手の持ち主を見上げると、目の前には目尻に涙をためる北人さんの姿。

その顔には怒りと...、哀しみが見えた。

『死にたい...？じゃあ君のせいで死んだ壱馬はどうなる？壱馬の想いはどうなる？』

「...」

『死にたいなんて無責任すぎる。身勝手すぎるよ！！』

・