Wolf Ⅱ (ページ43)

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近づく別れページ43

＊

「うっ...」

暗闇に落ち続けていた意識が、その一瞬のひどい頭痛のせいで少しずつ戻ってくる...。
そして重たい瞼が自然に上がった時、茶色い見慣れた始めた天井が映った。

ｶﾞｻｯ＿＿＿＿＿＿＿

まだはっきりしない意識の中、私は布団を退けながら上半身を起こす

どのくらい眠っていたのか分からないが、とにかく普通の寝起きにはない頭痛が尚襲ってくる

そしてそれと共に少しずつハッキリする意識と記憶

北人さん...

唇の感覚と、流し込まれる“何か”の感覚も...

全てが元通りになった時、私は頭を抱えていた手を外して顔を勢いよく上げた。

「えっ...」

その瞬間、偶然目の端に入った人の気配

そちらに目を向けると案の定そこにある人影
その人影は力なく床に座り、体重を全て壁にあずけていた

慎...？それとも北人っ...さん？

私はゆっくりと布団から足を出し、冷たい床につける
そしてそのまま立ち上がると一歩、また一歩とその人影へと足を進めた。

「慎...！？」

近づくと見え始めた人影の正体の名前を呼ぶ
私はその姿をとらえた瞬間、慎の側へ急いで駆け寄った。

「ねぇっ...？慎...？.........ねえっ！！」

『＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿A...？』

半ば意識が飛んでいた慎に肩を揺らしながら呼びかける

すると数回の呼び掛けでやっと慎は少し顔を動かした。
そして首を少し傾け、こちらに視線を向ける

暗闇に慣れてきた私の目は、まだ変わらない慎の違和感を感じる表情を見つめた...

「＿＿＿＿＿どうしたの、慎...？」

雰囲気からどうしたのこうしたもなく、何かがあったことはみてとれた。
実際、私が眠る前の北人さんのおかしい行動もあったわけだし...

『...＿＿＿＿＿』

「えっ、なに？」

何かを伝えようと口を動かしている慎だが、その声は弱々しくて上手く聞き取れない

『＿＿＿＿＿...くとさん』

「慎、聞こえない...」

本当に様子がおかしかった...
私の中のどこかで胸騒ぎが大きくなる

『北人さん...』

そしてついに私の耳に届いた慎の声
一言だったが、それで大体の想像がついた

慎には申し訳なかったけど、私はその場を立ち上がった。

その瞬間、慎とかすかに目が合う。
彼も何となく理解をして、ぎこちない動きで顔を縦に振った。

私はそれが合図かのように部屋を勢いよく飛び出した。

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