Wolf (ページ10)

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“A！！”

ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

名前を呼ばれるともに何度もしきりに叩かれるドア。
聞き覚えのあるその声に自然と足がそちらの方へと向かった。

“外にはでるな”
その紙を握りながらもう片方の手で鍵を開け、そしてそのままドアを押す。

その瞬間、勢いよくドアが開いた。

『A！』

私の体を誰かが抱きしめる。

・

「おじさん...？」

なんとも聞き覚えのある声
まさかとは思いながらもその名前を口にすると、抱きしめる力が強くなった。

『良かったぁ...』

おじさんはあいつの弟で、何回か会ったことがある。
あいつとは違って、それほど暴力的な人ではないし。
むしろ私に優しく接してくれたのを思い出す。

「あの...」

苦しい、とおじさんの肩を叩いて知らせると解放される体。

おじさんは私の肩に手をかけながら、心配そうにこちらを見つめた。

最後に会ったのは随分前だったけれど、顔の優しそうなシワは変わっていない。
唯一変わっていたのは服装で、いつもならラフな格好なのに今日は珍しくスーツなんか着ていた。

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