Wolf (ページ4)

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怖さの裏側ページ4

＊

「んっ...」

重たい瞼をあげると見覚えのない天井
そして背中に感じる硬いベット
体にかかっている毛玉のついた毛布

「ここ、どこ...」

上半身を起こすとベットがギィーっと軋んだ
体を動かした瞬間、覚えのある香りが鼻をつく。
血の入り交じったあの匂い...

自分の体を見下ろすと、黒いパーカー。
思わず袖の部分を鼻に近づけ匂いを嗅ぐ。
さっきよりも鮮明にその香りが鼻を通り抜けた。

＿＿＿＿＿＿＿

『目ェ覚めたか...？』

背後から急にかけられる声。
驚きのあまり鼻に近づけていた腕を勢いよくベットにおく。
少しずつ少しずつ体を反転させると、そこにはこの部屋のドアにもたれ掛かる男の姿。

Tシャツではなく、タンクトップを着ており、相変わらず前髪は輝きのない瞳を覆っていた。

『お礼のひとつもないん？』

男が歩く度に床が音をたてる。
ベットの脇に立つと、こちらを見下ろした。

「お礼って、何に対して...？」

口から出る威勢のある言葉に対して、男の反応が怖くて顔を見ることができない。

『殺さないでやっただろ』

「死にたいって言った」

『3日間も覚めなかったあんたを介抱したの、俺なんだけど』

「はっ...」

男の方へを勢いよく顔を向ける。
そこには何を考えてるのか分からない顔をした男の姿。

『最近のガキはお礼も言えないのか』

私を顔を見てふっと鼻で笑うと、私の腕をつかみベットから引きずり出した。

『こい...』

強く引っ張られる腕に痛みが走る。
ただ私は引きずられながら部屋を出た。

＊