Wolf (ページ26)

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高熱と熱い視線ページ26

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『はっ、はぁ...』

彼の荒い息が聞こえた瞬間、顔を上げた。
北人さんが帰ってからどれくらい経っているのか分からないが、いつの間にか寝てしまっていたらしい。

彼の横たわるソファーの脇で、彼の足に手をつく形で寝ていた。

突発的に彼の方に視線を向けると、目を開けてはいないが苦しそうに歪める顔が映る。
辛そうな声と共に、無数の汗が散らばっていた。

“高熱が出ると思うから...”
北人さんの言葉が頭に蘇り、すかさず彼の額に手のひらをやった。

「あっつ...」

何度あるのだろうか...。
ありえないほどの熱が手のひらから伝わってきた。
私は何も出来ずに脇に座っているが、彼の苦しむ姿は変わらない。

「あっ、氷...」

北人さんの処置の手伝いをしてた時に、確か冷蔵庫の場所を教えて貰った。
それが脳裏に過ぎると、私は彼の額から手を外して立ち上がる。
何も出来ないよりかはマシだ...。

そう思い、キッチンの方へ向かおうとした、その瞬間、

「っ...？」

熱っぽい手が私の手首を掴んだ。
その衝撃で少し体が揺れる。
私はゆっくりと振り返り、その手の持ち主の彼の顔を見た。

『行くな...』

うっすらと目を開けている彼は、苦しそうに顔をゆがめたままこちらを見つめた。

あまりに急な出来事にフリーズした私。

そんな私の手首を少し強めの力で引っ張ると、再びソファーの横に座らせた。

大人しく座った私を横目で見ると、彼は目を閉じた。

だんだん弱くなっていく手首を掴む彼の手。
しかし、スルッと手を離すと無意識なのか掴み直される。

そのため、私はどこにも行くことができずそこに座るしかなかった。

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