Wolf (ページ24)

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廊下を走り、目の前にあったリビングのドアを一気に開ける。
開けてすぐそこにあるソファーには横たわる彼と脇に座る北人さんの姿。

彼は尚も目を開けておらず、そして北人さんだけがこちらを見た。

私は北人さんの元へ近づくと、掴んでいたタオルを渡す。
北人さんは無言でそれを受け取ると、彼のパーカーに手をかけた。

「うっ...」

パーカーを脱がすと共に強くなる血の匂い。
それ自体は大丈夫だったが、彼のだと考えると変な気持ちになった。

『Aちゃん、あとは俺に任せて。』

私の姿を見た北人さんはタオルを彼の手にまきつけながらそう私に言った。
きっと優しさからそう言ってくれたのだと思うが、私は一心に首を横に振る。

ただ、離れたくなかった...。

ここで離れたら、彼が居なくなってしまいそうでならなかった。

『分かった...。なら手伝って。』

北人さんの目が一気に変わる。
優しい目付きから少し鋭い目付きに変わった。

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