Wolf (ページ12)

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黒い正義ページ12

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『うがっ、はっ...！』

車のドアへ押し込まれそうになった時、急に首を掴む手の感覚がなくなった。

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それと同時に苦しむおじさんの声が聞こえ、そしてその声はだんだんと聞こえなくなる。

バタン＿＿＿＿＿＿＿

何かが倒れる音が耳に入り、私の荒れた息だけが残った。

私は怖々後ろを振り返った。
その瞬間鼻をついたのは独特な鉄に似た匂い。
血の匂いだと気づくのに時間はかからなかった。

そして目に映るのはからだから血を流してピクリともしないおじさんの姿。

その姿に、あの時の光景が脳裏に浮かんだ。
あの日の光景が...

体から流れる血。血の匂い。

“そして、視線をずらしたところにいる男”

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『外に出るなって言っただろ...』

血のついたナイフをしまった男は、黒いフードからこちらを見つめた。

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