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私の呼び掛けに反応を示した彼は、私が掲げた手を優しく包み込みながら、そのまま私が横たわるベットに腰をかけた
そして、その手をいつかと同じように彼は自身の頬にあてた
彼の頬は温かかった
私の手の冷たさを自覚させられ、それと同時に、小刻みに震える自身の手の震えも目に映った
・
彼と目が合い続ける時間が幾分か続く
私は口を開きたかった
口を開いて、心に思うことを全て言ってしまいたくて、胸が詰まるように苦しかった
ここはどこ…?
樹さん、北人さんは?彼に怪我はなかった…?
番人はその後追ってきたの?
____慎のことは…
けれども、それはあまりに口に出すには多すぎて、辛くて…
体の回復をある程度実感できるとともに、心の方は無に等しかった
・
すると、彼は私と合わせる目を細めた
彼が私の頬から首にかけて、指を滑らせる時、それが安堵の表情だと見て取れた
・
そして次の瞬間発せられた…
「全部終わった」
その言葉に、
「だから…、心配しなくていい」
込み上げる疑問を喉に詰まらせ、私は何も返答することはできなかった
*第一部 完結
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作者名:M谷 | 作成日時:2022年5月14日 23時