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*
私たちが乗り込むと直ぐに北人さんは運転席へ入り込み、息もつかぬ間に車を発進させた
壱馬は私をゆっくりと席へ下ろした
・
樹さん…。
車の中に目を向けると、横たわった樹さんの姿が映った。
意識はなく、傷も深そうで思わずすぐに目を背けてしまった
きっと何か樹さんにあったのだろう。
私は樹さんに向ける視線を避けながら、ゆっくりと車の中全体を見た
何回も見た
そして、その瞬間気づいてしまった。
あれ……?
“何が何だか分からないくらい悲しかった“
“分からない分からないけど悲しかった“
“恋しかった“
“再びふっと笑ったその笑顔が脳裏に焼き付く“
“背を向けた慎は、そのまま走る“
“____________な予感がした…“
・
そう、嫌な予感がした_________。
なんで……?
・
・
「まこ……と、は……?」
・
・
「ねぇっ……ほくと……さん……」
もう私の体はとっくに限界だった
声がもう声にならない、でも
「っまことは……」
北人さんの作る沈黙が辛かった
「ねぇっ……戻らなきゃ……。おねがっ……」
置いていってしまった慎を。
危険なあんな場所に。
早く戻って、車に一緒に乗って、逃げるの
一緒に……。
・
・
・
・
『_______ごめん。Aちゃん』
涙は枯れてしまったはずなのに…
『まこっちゃんは戻らない』
体の中の水分を全部振り絞るかのように、涙が流れ落ちた。
*
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作者名:M谷 | 作成日時:2022年5月14日 23時